日刊ニュース

2010.08.06 のニュース

元売4~6月決算は増益 -減産対応で製品マージン増加-

元売各社の4~6月決算が出揃った。石油製品の市況改善、製品マージンが増加したのと、原油価格の上昇で在庫評価益が発生したこともあり増益となった。
 原油価格はドバイで期初から5月までは80ドル台で推移したが、ギリシャの財政不安、世界経済の不透明感の高まりから軟調に転じ、その後は70~80ドルで推移した。平均は78ドルとなり、前年同期と比較すると19ドルの上昇となる。
 各社の減産効果で需給はタイトで推移したため仕切価格の値上げも浸透、末端市況も堅調に推移したため元売、販売業者ともにマージンを確保したことになる。とくに元売は仕切価格の見直しを行ない、ブランド料の引き上げでマージンの増加を図ったことも増益に寄与したようである。
 製品マージンが確保できたのは久し振りであり、実質2年連続の赤字となっていたため危機感が強まり、減産対応、設備能力の削減に取り組むことで足並みが揃ったことになる。
 各社別でみると、JXHDは連結売上高が2兆2352億円、経常利溢は591億円(前年の新日石、新日鉱の合算は778億円)となっている。両社が経営統合したため実績はない。セグメント別では、石油精製販売の経常利益は161億円、うち、在庫評価益を除くと172億円、石油開発は174億円、金属が174億円などとなっている。
 出光は、連結営業利益が312億円で前年比で265億円の増益となった。うち、在庫評価益が63億円あり、これを除くと249億円となる。経常利益は327億円(前年は8億円の赤字で335億円の増となった。営業利益をセグメント別でみると石油製品が208億円(在庫影響を除くと150億円)、石油化学品が92億円、資源が92億円(うち石油開発が65億円、石炭が27億円)などとなっている。
 コスモは、連結経常利益は152億円で15億円の増加。在庫評価益が23億円あり、これを除くと129億円となる。セグメント別でみると石油事業が92億円、石油化学事業が2億円、石油開発事業が88億円、などとなっている。
 このようにみると、本業の石油製品での利益が確保されたことがポイントとなる。今までは供給増を理由に業転市況が低迷し、末端市況でも価格競争が展開されたため、元売、販売業者ともに赤字となり、共倒れが心配される時期もあった。
 仕切価格は新体系に移行して業転市況、先物市況にリンクして透明な仕切価格となったが、業転市況が安値となって推移したため結果的には失敗となった。そのため各社は新体系の見直しを検討することになり、ブランド料の引き上げなどマージン増加を狙った。そのため販売業者からは元売のみが利益増になる方式であるとの反発も出たが浸透している。
 同時に需給をタイトにすることがポイントと見て大幅減産で対応することになった。その結果、在庫が減少して業転玉への出回りが減少し、業転市況は堅調で推移することになり、仕切価格も高値となってマージンが確保されることになった。
 さらに原油価格は80ドル程度の高値で推移したため、石油開発も増益となったのと、石油化学も回復してきたことで増益につながった。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE