日刊ニュース

2012.03.21 のニュース

需給タイトで業転市況は上昇―ガソリンのユーザー転嫁は浸透―

 ガソリン市況は値上がりが浸透している。仕切価格は2月11日から連続して値上げとなり、ユーザー転嫁の遅れが心配されたが、末端市況も値上がりに追いついた。石油情報センターの調査価格は12日で153円/Lとなり前週に比べると4円の値上がりとなった。仕切価格の値上げが浸透する以前2月23日の143円に比べると11円の値上がりとなった。東京は156円、神奈川153円、千葉、埼玉も150円となっている。次週調査(19日)では、さらに値上がりが見込まれている。
 首都圏の街道沿いはボトムが155円以上となっており、1月末が138円であったため、17円の値上がりとなっている。都心部では160円台となりそうである。1月時点では市況が下落して販売数量は、厳しい経営が続いていたが、ここにきてコストを回収できたことになる。
 ただ、150円を越えたことからユーザーが節約志向になると販売減が懸念される。減販となると価格競争が再燃することは、過去にも繰り返されている。仕切価格の値上がりを受けて、現在、ユーザー転嫁の最中で勢いがついているが、市況が安定すると価格競争となる。しかし、ここ当分は原油価格が高値で推移しそうであり、緊張した状況が続く。
 ガソリンが急騰したが、その要因は、原油価格(中東産)が120ドル/バーレル台と10ドル以上の値上がりとなったことと、為替が1月に78円/ドルから83円と円安に転じたため、コスト増となり、元売が仕切価格の値上げに取り組んだことによる。灯油もシーズン終りに近くなり販売が減少するため、主力商品がガソリンに移行する時期と重なりガソリンの値上げを重点に取り組むこととなった。さらにガソリン在庫は190万KLを割る低水準で、需給がタイトとなったため、業転市況、東工取の先物も値上がり、ユーザー転嫁が浸透する環境が整備されたことになる。
 また、製油所の定期修理の時期となり、元売が市中買いに出たこともあって、大口の海上物(バージ)が値上がりしている。業転市況が値上がりしていることから、業転玉を購入しているHC、量販店も業転市況の値上げを受けて、末端市況を値上げすることで対応、安値物が底上げとなってきた。その結果、末端市況は値上がりで足並みが揃ってきた。
 このように、低在庫で需給がタイト、業転市況値上がりという好条件か揃い、ユーザー転嫁が浸透してきた。原油高、円安のコスト増を転嫁できる環境だが、今後は販売数量の減少に伴う供給増が懸念される。
 当分は需給タイトの状況が続くが、ここにきてJX日鉱日石エネルギーの仙台製油所(14万5000バーレル/日)が再開となったため、需給緩和を心配する向きもある。昨年の東日本大震災で被害を受けて、約1年間にわたり操業を停止していたが、JXは不足分を市中から購入しており、常に買いポジションであったものが自社生産で対応することになるため、今後の国内の需給、業転市況にも影響が出そうである。
 JXでは、自社生産で石油製品の供給を確保できることになり、安定供給にはプラスとなるが、石油業界全体でみると供給増となりかねない。ここは、各社の販売に見合った生産で対応し、需給を安定化させることが重要となる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE