日刊ニュース

2012.06.15 のニュース

エネ・環境会議、中間報告まとめる ―原発構成の選択肢は3案を採択―

 エネルギー・環境会議は8日に開催され、電源構成比の選択肢に関する中間的整理をまとめた。原子力委員会の「核燃料サイクル政策」、総合資源エネルギー調査会の「エネルギーミックス」、中央環境審議会の「温暖化対策」などの、各審議会で検討していた報告を参考にしてとりまとめたものである。
 6月中には、統合した絵姿を複数のシナリオとして提案する。その後、7月に「国民的な議論」を行ない、8月には「革新的なエネルギー・環境戦略」を決定する予定である。新しい試みである「国民的な議論」については、場所、運営の方策は明らかにされていない。各地方で公聴会、セミナーなどの方法で国民から意見を聴く場を設けるのか、その参加者の人選をどうするのか、開催場所の数、被災地を含むのか、その運営方法など、多くの問題点が指摘される。最終的には政府の方針を説明して了承を得ることになるが、原発問題となると反対、推進と対立が激しく、調整することは不可能であり、時間的に制約されることになる。
 現在も、原発ゼロ派の委員は「審議会で原発問題を審議中であり、政府も当初は脱減発の方針であったにも係らず、大飯原発再稼働を進めるのは矛盾する」と反対している。-政府は、原発の再稼働は、電力不足による社会の混乱を解消するため現実的な措置であるとしているが、理解は得られていない。
 しかし、今後の新エネルギー基本計画の策定も国会、政治日程と絡んで流動的となる。国会の会期が21日までだが、消費税の増税問題を巡って、与野党協議が大詰めの段階で、
これがまとまるか最大のヤマ場にある。国会も21日で休会となるのか、会期を延長するのか、場合によっては解散、総選挙なども予想され見通しが難しくなっている。
 今回のエネルギー・環境会議での中間的整理では、総合エネ調でまとめた電源構成における原発比率の選択肢①のゼロ、選択肢②の15%、選択肢③の20~25%の3案を、そのまま採択している。それぞれの選択肢に沿って再生可能エネルギー、火力発電、コジェネ(一律15%)の構成比を算出している。また、節電は現行計画比で2削減(2010年比で1割減)、一次エネの省エネは10年比で2削減としている。
 このエネルギーの選択肢は、国際的なエネルギー情勢や技術革新の動向、さらには原子力安全に対する国民の信頼などに左右される。すべての選択肢ついて、2030年を設定した検証を行なうことにしている。
 化石燃料に関する考え方では、中長期的にみれば、火力発電の絶対量は現状よりも減少が見込まれるが、当面は化石燃料が重要視される。このため、エネルギー・環境4会議は、国際的なエネルギー情勢、エネルギー安全保障の観点、基幹電源のあり方、再生可能エネルギーの調整電源の必要性といった点を十分に検証しながら、開発投資の推進、調達改革、技術の推進、資源燃料政策を強化するとしている。
 さらに、一次エネルギーベースでの化石燃料の構成がどのようになるかをまとめ、その際に必要な政策の提示を求めている。そのため総合エネ調では、次回の19日には石油など化石燃料について集中審議することになっている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE