2012.08.08 のニュース
石油事業 在庫評価損除きで赤字 ―市況下落でマージン低下―
元売各社の4月~6月の決算が発表されたが、中核事業の石油事業が原油急落で在庫評価損が発生したことと、国内市況の急落で石油製品マージンも悪化したため赤字となった。
JXホールディングスの「石油精製販売」は909億円の経常損失、コスモ石油の「石油事業」も368億円の損失となった。昭和シェル石油の宕油事業」でも営業損失は207億円となっている。在庫評価損を除いても赤字となっており、市況下落によるマージン減の影響が大きい。
原油価格(ドバイ)は、期初の4月が120ドル/バーレルであったが、世界経済の不透明感から下落、6月上旬は100ドルを割り込み、期末では93ドルとなり、期中で約27ドル急落した。しかし、4月~6月の平均では116ドルとなり前年同期(111ドル)と比べて5ドルの値上がりとなっている。為替は期初が83円/ドルから円高で推し、期末では79円となり、平均は80円で前年比では2円の円高となった。
JXホールディングスの連結決算は、売上高が2兆5510億円で前年比で5%増、経常損益は383億円の損失(前年は1451億円の利益)となった。うち在庫評価損が775億円あり、在庫影響除きでは経常利益は392億円(同562億円の利益)となった。
セグメント別の「石油精製販売事業をみると売上高は2兆1942億円で8.4%増、経常損失は909億円(前年は1009億円の利益)で、前年比で1918億円の悪化となる。在庫評価損766億円か発生したため、これを相殺すると経常損失は143億円(同133億円の利益)となった。うち石油製品は174億円の損失、石油化学製品は31億円の利益となった。「石油開発事業」は、原油、天然ガスの生産は減少したが、暦年ベースの価格は前年に比べると値上がりした。売上高は510億円で15%増、経常利益は366億円で60%増となった。「金属事業」の経常利益は、118億円で37%減、その他は22億円などで合計では383億円の経常損失となった。
コスモ石油の連結売上高は7557億円で前年同期比で404億円増、経常損失は219億円(前年は314億円の利益)、純損失は667億円(同130億円の利益)となった。
セグメント別では、「石油事業」の売上高は7363億円で364億円増となったが、市況が低調で収益は悪化、在庫評価損が発生したため経常損失は368億円(前年は184億円)で572億円減となった。在庫評価損が193億円あり、これを除くと175億円の損失となった。「石油化学事業」は経常損失は11億円、「石油開発事業」の経常利益は177億円で前年比で45億円の増となった。
昭和シェル石油は上期(1月~6月)の決算を発表したが、うち4月~6月では連結経常損失が266億円となり、前年の295億円の利益と比べると562億円の悪化となっ
た。在庫評価損が163億円あり、在庫影響を除いたCCSベースでは103億円の損失となった。
セグメント別では、「石油事業」の営業損失が207億円(前年は337億円の利益)、「エネルギーソリューション事業」が46億円の損失(同52億円の損失)となった。合計で250億円の損失(同288億円の利益)で538億円の悪化となった。