日刊ニュース

2012.10.10 のニュース

製油所のトラブル多発を追求 ―過剰設備で余力あるが安全確保を重視―

 製油所の火災事故、アスファルト流出など、トラブルが多発しており、石油連盟では、環境安全委員会に「製油所の安全確保に関する検討会」を設けて対応に入った。明年3月末までにとりまとめを行なう。
 事故の多発で製油所の操業停止が増えているが、現状は設備が過剰であるため、供給面では支障を来していないことが幸いしている。だが、早急な安全確保策が求められる。
 検討会の座長には岡田智典昭和シェル常務執行役員(環境安全委員長)が就任、構成は、環境安全委員会、設備管理専門委員会幹事、有識者(2名~3名)、資源エネルギー庁石油精製備蓄課長(オブザーバー)となり、その下部に「対策検討ワーキンググループ(WG)」(議長は安全専門委員長)を設置する。具体的な検討は、このWGで行なうことになる。
 検討内容は、①事故情報の水平展開等これまでの業界の安全活動に関する効果を検証する、②製油所の最近の状況をとりまとめ、課題抽出と安全確保の考え方をまとめる、③今後の検討の方向を示す、以上3点。最終的に安全確保の提言をまとめる。
 製油所の事故に対しては、地元の自治体、警察、消防関係に通告、立ち入り検査、事故原因の究明を行ない、これに基づく改善命令が出され、修理工事、検査、再開許可を経て操業となる。この動きとは別に、自社で事故調査委員会を設置して、事故の原因を究明、改善策を提示し、前向きに協力することで許可を得て、操業を再開することになる。
 各社とも、製油所の事故に関しては地元で個別に対応しているため、情報を交換する場も少なく、今回の検討委員会の設置で、操業状況の把握など新しい安全確保策が期待される。また、事故に対しては、法律では危険物取締の高圧ガス取締法などとなるが、監督官庁であるエネ庁と共同で検討することになっている。
 最近の事故多発にっいては、製油所の老朽化に間題があると指摘されている。製油所の建設は戦後の1930年代から始まり、精製能力は1980年に約600万回/日がピークとなったが、現在は488万バーレル/日に減少している。第1次オイルショック(1973年)以降は新設はなく。製油所は減少が続いている。オイルショックで需要が減少したが、それ以前に建設中の新鋭の製油所が立ち上がった。その結果、需要減少の状況下で供給過剰が問題となり設備処理が実施された。これまでに小規模、需要が少ない日本海側の旧い製油所は廃棄されている。そのため、現在操業中の製油所は40年~50年前のもので老朽化している。
 需要現象が今後も確実に続くことから、新設やリプレースなどは行なわれず、老朽化がますます進行することになる。事故が多発しているため安全対策が重要となるが、このままではより深刻な事態になるとの批判が出そうである。
 現在の原油処理は約350万/日で稼動率は77%となっているが、さらに、エネルギー高度化法で設備廃棄が進行中である。効率化を追求することで現在より設備は減少することになり、設備廃棄が完了した時点で事故が多発することになると、エネルギー供給が滞り、安全保障問題へと発展しかねない。設備、操業、安全管理のいずれに問題があるか、原因を追求しなければならない。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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