2010.09.02 のニュース
石油・SSの崩壊も一緒に防御
9月1日は「防災の日」。地震国・日本では昭和以降、マグニチュード7以上22回、最大震度6以上24回、うち95年の阪神淡路大震災と04年の新潟県中越地震は震度7を記録した。きょう行われる政府本部の訓練は、発生が近いとされる東海地震と、東南海・南海地震が連動発生する場合を初めて想定している。また、都内ではこのほど東京都・文京区合同総合防災訓練に石油連盟と東京石商が共同ブースを出展し、大地震などに備えた取り組みを紹介した。
政府の中央防災会議は今年1月、首都直下型地震対策大綱を修正したが、そのポイントになったのが帰宅困難者などに対する新たな対策。一斉帰宅を抑制するとともに、円滑な徒歩帰宅を支援するため、自治体を中心に経路情報の提供、危険場所や混雑場所での交通規制・誘導、路上危険物の対応、救急・救護体制の構築、一時滞在施設の確保をあげつつ、「SS・コンビニなどとの平時からの協定に基づく飲料水やトイレなどの提供体制の構築を行う」とした。SSとの連携が明記されたことに、役割への認識と期待感がうかがえる。
石油販売業界は、石油組合・支部が中心的な窓口になり、地元自治体と「災害時の燃料優先供給協定」を締結したり、「帰宅困難者対策訓練」にも積極的に協力してきた。自動車、電源、暖房と多彩な用途を持ち、送電網やガス・水道管とは異なる分散供
給可能な自立エネルギーとして、災害現場でも重宝されてきた石油。場所確認の際もSSが目印としてマークされる。だが、一方では他エネルギーより厳しい自由競争に晒され、経営基盤の不安定さが増している。サプライチェーンの綻びに対して、いざという時にどのエネルギーが、だれが、石油・業をカバーするのか。平時があって緊急時対応が成り立つのに、都合よく「災害時だけ頼ろうとする」考え方には違和感がある。
自家発電設備と給水設備を兼ね備えた災害対応型SSは、45都道府県で約240ヵ所になった。それでもSS総数の1%に満たない。緊急用手回しポンプやAEDの単独装備なども進んでいるが、消費者の不安感を和らげるには不十分だ。また、施設的な備えと同時に、人的な対応力の重要性もしばしば指摘される。時節柄、万全な体制を整えるには至らずとも、可能な範囲で準備すること、それを内外に周知することは自社の力にもなる。