2012.11.08 のニュース
なりふり構わぬ理由付け
石油に税金を課すために、そして増税するために、よくもまあこれだけいろんな理由をつけてきたものだ。それがさらにエスカレートしている。新税導入、増税のための理由を探し出し、さも当然のことのように決められてきた。石油業界はその歴史を知っているからこそ、国民の負担軽減のためいま声を挙げるのだ。
最初は、道路を作るための財源として増税された。道路を作るためにその道路を走行する自動車や燃料に税を課す「受益者負担の原則」に基づくものだ。生活の利便性確保や経済活性化に向けて、少しでも早く道路整備をすることが喫緊の課題だとして、本則のおよそ倍の「暫定税率」も導入された。この暫定の期間が長過ぎるという問題はあったが、道路の利用者には、まだ理解できる面があった。
その道路特定財源は一般財源化され、道路を作るためという理由がなくなった。しかし、国はガソリン税や軽油引取税、さらには自動車重量税や自動車取得税などの車体課税について、暫定税率分も含めて税額を維持し続けている。
欧州各国よりも課税水準が低い、という理由だ。アメリカと比べれば日本の自動車関連税のほうがはるかに高い。しかし、間接税主体の欧州では、直接税が低い分、個別間接税が高い。そうした基本税制のあり方などを無視して比較しても意味はないはずだ。なのに、それが正当な理由とされている。
最近は、そこに地球温暖化問題が持ち込まれるようになった。地球温暖化問題については、ここに来てCO2が温暖化の原因であるという科学的根拠に疑問を唱える研究者も多くなっている。そんな根本的な問題を無視して、温暖化の原因はCO2であり、それを排出する自動車や燃料にペナルティー代わりに税を課すべき、というのである。
本年8月末に発表された環境省の「税制全体のグリーン化推進検討会」の報告書で「汚染者負担原則」という言葉が使われた。自動車交通が環境に及ぼす影響を考えると、車体課税を減税すること自動車販売が増える代わりに、エネルギー課税を強化(増税)してCO2増加を抑制するという考え方だ。
5兆円にも及ぶ税を課している石油諸税に、さらに根拠のあいまいな理由をつけて税を上乗せするという愚挙でもある。やはりこんなことを許すわけにはいかない。