日刊ニュース

2013.01.30 のニュース

仕切と業転との価格差は5円 ―ユーザー転嫁浸透の目安かー

 東石商が21日に理事会役員から調査したガソリンの仕切価格は、132円63銭/Lで前月に比べると2円36銭の値上がりとなった。一方、業転価格は127円62銭で3円17銭の値上がりとなり、この結果、仕切価格と業転価格との価格差は5円01銭となった。業転市況の値上がり幅が大きいため価格差は縮小したことになるが、5円程度で定着している。最多値でみると仕切価格が133円に対して業転市況は126円であり価格差は7円となっている。
 この5円の価格差がブランド料(販売関連コスト)。取引き数量格差などとなるが、業転と仕切価格との価格差は不当であり、是正すべきと元売系列の販売業者から不満が出ている。だが、市場は自由化されているため、業転玉を否定することは不可能である。系列業者は業転玉を認めているが、価格差を縮めるべきと要望している。元売と対等の立場にある系列業者は、安い業転玉を手当てすることで防衛することもできるが、大半の業者には対応が難しい。
 元売も市況下落を防戦するには、需給をタイトにして業転玉を少なくすることで業報市況を値上げするしか方策はない。そのためには過剰設備を処理して需給の適正化を図るこ
となるが、現在、高度化法による設備処理に取り組んでおり、過渡期にある。高度化法の期限が来年3月末に迫っており、また、製油所が停止していることもあって、足元の需給はバランスを保っているが、5円の価格差は存在している。ユーザー転嫁が浸透しているため5円価格差が目安となり、これ以上価格差が拡大すると転嫁は難しくなる。
 仕入価格の価格差が賑売価格に影響して、大型セルフSSとなると低マージンでも経営が可能となるため、フルサービスSSとの販売価格とでは10円以上の価格差が生じており、価格競争の要因となっている。過剰設備の処理によって需給がバランスすれば業転が減少、市況も安定することでマージンが確保できる。
 しかし、業転玉がなくなることはない。仕切価格と業転市況が同値か逆転する状況は、海外から原油輸入が減少するなど、災害、事故で減産となり極端に供給が不足する時期に限られる。通常は、ある程度供給に余力があり、業転玉が出回るため、業転市況が安値となり、価格差が存在する。その価格差がどこまで容認できるかとなると、2円程度と販売業者はみている。
 仕切価格は週決めの新価格体系が実施となり、以降、値決め基準、ブランド料加算などが改定されている。元売の価格決定の方針も業転、原油価格、各社の動向をみて、コスト変動を総合的に勘案して改定幅を通告している。コスト変動の細目を説明することは難しく、元売が打ち出した仕切価格の改定幅が市場連動相場であるとしている。結果的に各社の打ち出す仕切価格の改定幅は、ほとんど価格差はない。毎週の改定幅には、若干の価格差があるが、2~3週間でみると調整されている。
 この仕切価格と業転市況との価格差問題ついては、公正取引委員会でガソリンの取引実態調査を昨年実施した。価格差が拡大していれば差別対価となるが、元売が指摘された事例はない。調査は実態を公表することで、元売の姿勢を問うことにとどまっている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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