日刊ニュース

2010.09.10 のニュース

元売集約化効果でマージン確保 -販売業者も市況安定で黒字に-

石油製品の需給は安定して推移している。石油各社が需要に見合った生産に取り組んでいるためで、業転市場への玉の出回りも少ない。猛暑が続きガソリンの販売数量が伸びたのと、石油製品の輸出が好調であるため、需給もタイトで推移している。
 このため製油所の稼動率もアップしており、市況も安定しているため石油各社は糟製マージンを確保している。7月からのJX日鉱日石エネルギーの発足もあってか、これを機に各社は需要に見合った生産で対応しており、供給増の解消に努めている。
 JXの発足で大手元売の数は5社に集約され、無理に競争するよりも、安定を追求することで適正マージンを確保するという方向が出てきた。元売の集約効果で大人の対応が浸透してきたといえる。
 元売間での競争が減少したことは、販売業者間にも好結果の影響を与えることになり、末端市況の価格競争も下火となってきた。ガソリン市況もHCなどの安値に対して周辺SSが追随することは少なくなっている。業転玉の出回りが少なくなり、業転市況が比較的堅調で推移していることもあり、原油価格が値下がりしているわりには、末端市況は維持されているといえる。
 原油価格の値下がりにより、ガソリン市況は、石油情報センターの調査価格では、5月が140円であったものが連続して値下がり、134円に下落しているが、原油価格の値下がりに比べると価下がり幅は少なく、マージンは確保されている。
 原油価格は4月の85ドルに比べると最近は73~75ドル/バーレルと値下がりして推移している。為替も84円/ドルから83円台と一段と円高が進んでおり、原油安、円高というコスト安のメリットを石油業界は享受していることになる。
 円高については、輸出産業の円高不況が心配されている。政府の対応の遅れを指摘するむきもあるが、景気が回復の兆しを見せているだけに、最近の景気の行き詰まりと円高不況が追い討ちをかけるのではないかと懸念されている。
 燃料油の販売数量は、7月で前年比4.6%増となり、4~7月の累計では0.7%の微増となった。猛暑となったため、ガソリンが増販となったことが主な要因であるが、景気の回復が見込まれていることもあり、販売増に寄与した。
 平成22年度のスタート時はマイナスを見込んでいただけに需要の回復は石油業界とって朗報である。だが、ここで円高不況が到来すると、今までの需要回復の兆しに水をさすことになる。石油業界もガソリンを中心に販売数量の増加を期待してるだけに、再び減販となると、価格競争の再燃が心配される。本来、9月になればガソリン販売は夏場の反動で減販となるため、例年、市況維持に苦慮して値下がりすることになるが、今年は今のところ安定して推移している。
 元売、販売業者ともマージンを確保しており、4~6月は増益となり、引続き7~8月も好調で推移している。さらに9月も市況が維持できれば、上期の業績は黒字が見込まれる。元売は仕切価格改定でブランド料を加算したこともあり、マージン増を確保している。販売業者も市況の安定で同じくマージンを確保、久しぶりに黒字となっているようである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE