日刊ニュース

2013.05.10 のニュース

想定外の減販で減産対応に遅れ-需給バランス崩れ、業転安に-

 ガソリンなど燃料油の販売減少に各社は減産で対応しているが、想定以上に減販となると、供給増となり需給バランスが崩れることになる。そのため減産対応も難しく、実需要に見合った生産が求められるが、減販傾向が強まる状況下での需給調整は遅れることとなる。
 また、減産対応のためトッパーでの原油処理を抑えても、ガソリンなどの二次設備がフル稼働となれば、減産とならず供給増となるケースも多い。各社は原油処理を抑えて、燃料油全体の生産は減らしているが、ガソリンなどが供給増となり、その余剰玉が業転市場に流れ、業転が値下がりすることで、末端市況の下落に拍車をかけることになる。
 4月に入りガソリン市況は下落したが、その要因としては、2月販売が前年比で6.7%減、3月が4.5%減と大幅な減販となったことから、販売業者が値下げしての増販を狙ったことが指摘されている。仕切価格の値下げもあり、これを先取りしての価格競争が展開されたため市況下落が加速したことになるが、同時に供給増から業転市況が値下がりしたことも影響した。
 下落局面となると、業転市況が先行して値下がりするため、系列仕切価格と業転市況との価格差問題が浮上する。双方の価格差は、通常ベースでは5円程度となることが実態調査で実証されているが、値下がり局面では、その価格差が拡大する。このため販売業者は、系列仕切価格のブランド料の引き下げと、業転玉購入の承認を要請しているが、元売は、商標権、品質保証の立場から、元売のマークを掲示しているSSでの業転玉の販売は禁じている。元売としては当然の措置であり、特約契約という法律の問題であるため決着済みと結論付けている。
 また、業転市況の値下がりによって、ノンブランドのHCなどが先行して販売価格を値下げするため、市況が下落して、仕切価格と同値かそれ以下となるケースが発生する。仕切価格も追随して値下がりするが、HCなどが安値が先行するため、一気に周辺SSも対応することで価格競争が展開され、都心部にも波及する。その影響は早まっており、一週間以内には都心部も値下がりとなる。それだけユーザーが価格に敏感になっていることもあるが、SSサイドも価格動向をみながらの商売となっている。
 都心部と郊外部、街道沿いでの価格差は形成されているが、値下がり局面では、足並みを揃えないと販売減少となることから、周辺SSの販売価格の動向を無視することはできない。この局面では、市況維持に努めてマージンを確保すべきであるとの見方もあるが、周辺の相場を無視して高値での販売を維持することは難しく、周辺SSに追随することとなる。その結果、低マージンの赤字経営が続くことになるが、このような状況になることでSSの減少、過疎化問題が進行することとなる。
 一方、値上がり局面では、業転市況が先行して値上がりするため、価格差は圧縮される。元売も仕切価格の値上げを完達するには、業転市況の値上げを狙って需給を締める。その結果、業転市況が値上がりして仕切価格の値上げが達成される。このように、需給面からも環境が整備されることになる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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