日刊ニュース

2013.06.20 のニュース

需要見通し アベノミクス効果織り込む-景気回復でマイナス幅を抑える-

 平成25年度~29年度の石油需要見通しが策定された。東日本大震災の発生により需給が混迷したため、見通し難となり策定を停止していたもので、3年ぶりの策定となった。25年度の石油需要(電力C重油除く)は1億7678万キロリットルで前年に比べると0.6%の減減、5年間の年度平均伸び率は1.8%減の見通しとなっている。また、燃料油計では、マイナスとなっているが、政府の経済見通しであるGDP2.5%増など、アベノミクス効果による景気回復を織り込んでいるため、微減にとどまっている。
 25年度の需要を油種別でみると、ナフサが0.2%増(向こう5年間の伸び率は1.1%減)、ジェット燃料油が3.5%増(0.2%増)となるが、その他、ガソリンが1.0%減(1.7%減)、軽油は1.0%減(1.1%減)、灯油が2.7%減(3.2%減)、A重油が1.4%減(4.1%減)、一般C重油が2.8%減(4.1%減)となっている。
 ナフサはエチレンの需要回復を見込んでいるが微増である。供給は主に輸入でカバーするため、石油業界としては国産への影響は少ない。ジェット燃料油の増加は羽田空港の発着枠の増加によるものであるが、数量は年間で410万キロリットルと少ないため需給面での影響は少ない。
 29年度の燃料油計は1億6217万キロリットルとなり、5年間で1573万キロリットルの減少となる。この見通しは、あくまでも備蓄量を算出する資料となるもので、集約化、設備過剰の材料とするものではなく、内需の減少を輸出でカバーすることで供給増を解消するとの方策もある。
 今後、需要減少のテンポは緩やかとはなるが、減少傾向に歯止めがかかることはない。そのため長期戦略としては、石油化学への転換、海外プロジェクトの推進、石油開発、再生可能エネルギーの開発などに取り組む方向にあるが、巨額な投資とリスクを伴うため、慎重さを求められるが、同時に英断も必要となる。
 因みに前回22年度~26年度の石油需要見通しでは、21年度が1億9500万キロリットルであったものが、26年度には1億6000万キロリットルで、5年間で約3500万キロリットル減少、年度平均伸び率は3.5%の減少を見込んでいた。ガソリンも3.2%減、灯油は5.4%減、B・C重油は。10.3%減と大幅減となっている。この見通しには当時の経済情勢、環境対策の推進を織り込んでいた。
 25年度は、燃料油全体では0.6%の微減ガソリンが1.0%減の見通しとなっているが、1月~3月のガソリン販売が4%程度落ち込んでいることから楽観的との見方もある。この見通しは今後の景気回復を見込んでいるものと思われる。だが、安倍政権の発足を機に、為替は円安が進行して100円/ドル台に乗せ、株価も1万5000円台に上昇したが、ここにきて為替が94円~95円とやや円高に、株価は1万3000円へと値下がりしている。
 さらに今後、原発の再稼働問題が具体化することで、仮に再稼働ともなれば、電力用C重油が激減する。10電力の重油の受け入れは4月が81万キロリットルで前年比38%減、5月は69万キロリットルで45%の大幅減となっており、これまで燃料油販売を牽引してきたC重油が減少に転じている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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