2014.02.28 のニュース
設備処理、制度見直しで実施-輸出の見定め、装備率など改善も-
総合エネ調資源・燃料分科会石油・天然ガス小委は、25日に開催され、石油・LPガス政策の検討を開始した。当面はエネルギー高度化法に伴う「判断基準」(大臣告示)で実施している重質油分解装置の装備率の向上(裏を返すと設備処理)が3月末で終了するため、次期告示に向けて検討を開始、次回で集中審議する。
まず、事務局から「石油産業の現状と課題」が説明され、最近の石油本体事業が供給増(設備過剰)による需給バランスの崩れから赤字であることが指摘された。各社の高度化対応が報告され、ほとんどがトッパー削減で対応、一部で重質油分解装置の増設で対応している。対応を検討中であるのはコスモ(坂出を閉鎖したが、追加対策が必要)、極東(2万3000バーレル/日の削減を発表)、太陽の3社となっており、3月中には対策を決めるものとみられる。
次期告示では、「原油の有効利用」(白油化)を追求することから引き続き実施する方向で検討に入ることになる。具体的な制度の内容は①装備率の向上の内容(定義等)、②装備率の改善目標、③取組み期間、④その他詳細な制度設計において、考慮すべき点など、現状に合わせた見直しが行なわれる。
橘川委員長も「装備率の算出、トッパー能力、分解装置の組み合せなど検討すべきある」と述べている。また、木村・石油連盟会長は「告示を改定する場合は、石油各社とよく相談して欲しい」と要望した。販売業界からは河本全石連副会長が「供給過剰から安い業転が出回り、現在、業転問題が指摘されている。需給バランスの崩れが市況を混乱させている」と設備処理を求めている。
現行の判断基準は、(装備率)=(重質油分解装置の能力=分母)÷(トッパーの処理能力=分子)で算出、国全体で装備率を13%程度までに向上させるものである。大臣告示は2010年7月に行なわれ、今年3月末に目標を達成することになっている。この結果、トッパー能力は約398万バーレル/日となり、08年4月時点から約100万バーレル/日が削減される。高稼働となり需給が締まることでマージン増加が期待されている。
現行の判断華準は、取細みが十分でない場合は、当該事業者に対して勧告・命令の措置、命令に違反した場合は100万円以下の罰金が課せられる厳しい法制度となっている。そのため現行の方式に対して、①自由化時代にあって法律で設備処理を実施することは問題であり、企業に自主性に委ねるべきである、②独禁法との関係で各社間の調整、話し合いができず対応に苦慮している、③装備率向上のため巨額な投資で重質油分解装置を建設すると、現在のような原油の重軽価格差が縮小している実態からみてコスト回収が不可能である、④白油化が進み国内の製品市況には価格差がなくなり、重質油分解装置のメリットは薄れ、白油も供給増で輸出対応することになるなど、多くの問題点も指摘されている。
今回の議論では、供給増に対して製品輸出の増加で対応ができるとの見方も出ている。しかし、製品輸出は海外の需給、市況動向と絡むため、その見通しもポイントとなる。また、現行の制度での施行には、説明不足という不満も残っているため、今後の議論では丁寧な説明が行なわれるものとみられる。