2014.03.11 のニュース
減販が続き減産効果は薄れる-業績回復は仮需要と完全値取りを-
石油製品の需給構造の変化により、元売各社の業績回復のシナリオが大きく変化してきた。販売減に対して各社は減産で対応しているが、さらなる減販で供給増という状況にあり、その結果、業績は減益、赤字という厳しい状況が続いている。各社とも、3月では消費税増税前の仮需要による増販と値取りで業績の回復を狙っているが、不安材料が山積している。
需給面、業績面での問題点は①ガソリン、灯油の製品在庫は低位で推移しているが、減販のためか需給が締まらず値取りができない、②元売、販売業者ともマージンの低下が定着しているが、改善策が見当たらない、③減販を製品輸出でカバー、石化製品にシフトしているが先行きは不透明などである。3月は決算月であり、消費税増税のかけこみ需要による増販を期待しているが、思惑通り推移するのか否かがポイントとなる。
需給面では、低在庫が続いているが、値取りが不発である。販売減によるものであるが、従来のパターンでは、在庫が減少すれば業転が値上がり、連動して仕切価格も値上がりするとみられていた。だが、現状は在庫が減少しても、値取りができない状況にある。これは減販を理由にして依然として売り姿勢が残っており、安値攻勢が続いているためである。また、減販が定着しているため、在庫が減少しても需給が締まらず、供給増の状況が続いている。各社が減産方針を打ち出して需給の安定化に努めているが、減産効果は出ていない。減産対応は計画比、前年比でマイナスとしているが、それ以上に減販となっているためである。
足元の元売の業績は、在庫評価益の発生で黒字であるが、在庫影響を除くと大幅な赤字となっている。1~3月で挽回を期しており、残る3月で増販、増益を見込んでいる。3月に入っても冷え込みが続いているため、灯油の増販と消費税の増税前の仮需要による増販に期待をかけている。4月には反動による減販で相殺されるが、3月期決算対策と限定すれば、3月で増益として通期で黒字へと業績回復を見込んでいる。
仮需要による増販と値取りを見込んで、3月に入り1日から2~3円/リットルのガソリン仕切価格の値上げを打ち出しており、8日からも1円の値上げを実施している。この値上げ分を即、完全に回収することがポイントであり、これが3月最後のチャンスとなる。
コアの石油事業は赤字であり、石油化学、石油開発事業が黒字であるため連結決算は黒字となっているが、売上高の90%を占める石油事業で黒字に転換しないと成長は望めない。赤字の要因は「供給増のため需給バランスが崩れ、市況が低迷してマージンが低下したことによる」と説明されているが、現状ではマージンを回復させる決め手はない。3月末で設備処理が完了するため、4月以降に需給の適正化が期待されるが、4月は仮需要の反動で減販となるため、設備処理の効果が出るのは5月以降となる。
一方、製品輸出は好調である。減販をカバーするため製品輸出の増加で対応しているが、足元の円安効果と海外の市況が高値であることで利益を確保している。しかし、輸出は海外市況次第であるため、下落することもあり不安定である。