2014.05.29 のニュース
第二次高度化法、近く施行 本格的な設備処理で高稼働を狙う
設備処理が終わり、トッパー能力は394万バーレル/日となり、原油処理量は330~350万バーレル/日で推移すると稼動率は90%弱となる。これに定期修理が実施となれば、実稼働率はアップする。3年かけて設備処理を約100万バーレル/日実施したが、これから向こう3年かけての設備処理を引き続き実施することになる。
木村・石連会長は「これから本当の意味での高度化がスタートすることになる」と述べている。第一次では、停止していた設備も処理枠で力ウントするなど緩やかなものであり、本格的な処理はこれからとなる。設備を処理することで、高稼働により需給をタイトにして市況の健全化を図り、マージン確保が狙える石油業界にすることが目標となる。
高度化法の告示改正(判断基準)は近く決まり、第二次高度化法が実施となる。施行されても、実際に設備を処理するのは、これまでのように期限ギリギリとなりそうである。
告示の改定は、分母(公称能力削減を認める)、分子(FCCなどを認める)の見直しを行なうことになっており、各社から意見を聞いているが、設備をできるだけ削減したくないとの方針を訴えている実態である。告示の見直しにより各社の装備率は向上するが、これに合わせて改善率を設定するため、結局は設備を削減することになる。各社の意見を丁寧に聞くことにしているが、夏ごろにはまとめるため時間的な制限もあり、今回はパブリックコメントを求めることになっている。
国内需要は、年率2%程度の減少が見込まれており、現在のトッパー能力では過剰となり、さらなる削減が求められることになる。現在、約400万バーレル/日であるが、足元でも、50~60万バーレル/日の供給余力があり、3年後では、現在よりも10%程度(約40万バーレル/日)は過剰であるとの見方もある。
供給不足となっても輸入でカバーできるため、設備の削減によって高稼働にして、競争力のある製油所を目指すことには各社賛成であるが、安定供給を考えると設備に余力を持ち、消費地精製方式を堅持すべきとの意見も出てくる。石油会社間でも、常にショートポジション(供給不足)で対応して、不足した場合は、市中買い、輸出でカバーすることで、製油所の稼働率をアップさせる戦略か展開している会社もあるなど、各社の対応はまちまちである。
自社の生産能力を維持しながら、実需に見合った生産を行なうとしているが、予想外の需要不振から供給増となり、需給バランスを崩すことが多いのが実態である。だが、過剰設備となれば、増産により余剰玉は業転市場に流れ、市況は急落して業績が悪化して赤字となる。その実例が3月期決算で実証されている。
25年度は第1次高度化法による設備処理の最終段階の仕上げとなる年となったが、駆け込み増産から供給過剰となり、大幅赤字の計上となった。設備処理計画が終了する直前での増産が以前より懸念されていたが、これが現実となった。
しかし、災害時、緊急時での供給対応となると製油所からの安定供給が求められる。インフラ整備、製油所からのサプライチェーンの維持・強化も重視されるが、常に高稼働で需給はタイトであることが経営面では重要となる。