2014.06.11 のニュース
新体系に対応して末端転嫁 ガソリンボトム166円で再挑戦~仕切改定の不透明さ残る~
新体系の移行に伴う、ガソリンの仕切価格の値上げを受けて、ユ-ザー転嫁をスタートさせる。首都圏の街道沿いSSではボトム価格166円/リットルを目安に取り組むことになる。5月初めには165~166円相場を達成したが、その後は2~3円の値下がりをみせており、安値(セルフ)は160円割れも散見している。新体系についてはコスト(原油価格)変動方式に変更されるため、当初は大幅値上げが予想されたが、JX、出光が6
月1日から1円80銭/リットルの値上げにとどまった。その後は、仕切価格の改定日が変更となり、出光が4日(水)、JXが5日(木)からとなったため様子をみたが、ともに据え置きとなったため、通常ベースの範囲内の改定にとどまった。販売業者は大幅値上げを予想していたが、1円80銭の値上げ、他社も1円程度の値上げとなったため、以前の市況(業転)連動方式と、どう違うのか戸惑いも出ている。それでも仕切価格は値上がりとなったことから、ユーザー転嫁に再度、取り組むことになる。元売は、新体系の実施を機に、コストの回収を重点的に取り組み、仕切価格の調整は行なわないことを強調している。
新体系のコスト(原油価格)連動方式は、原油価格の変動を基本としながら、海外市況、他社の動向など総合的に判断して仕切価格の改定幅を決めるとしている。原油価格を基本としているが、その他の要因を加味して総合的に判断することについて、より不透明になるとの見方もある。結果的には、元売は自社が利益を確保するために、都合の良い仕切価格を打ち出しており、それをコスト要因と理由付けしているのではないかとの勘ぐりも、販売業者の一部では出ている。いずれにしても、当分の間は、仕切価格の動向を見守ることになる。
かつてはコストの中身を公表することはないとしていたが、08年10月から市況連動の週決め方式が導入され、公正で透明な仕切価格を提示した形となり、販売業界も容認して実施されたが、時間の経過とともに業転と仕切価格との価格差が拡大することになり、途中で手直しを行なったが成果があがらず、今回、コスト変動方式に変更することになったもの。
業転との価格差問題は、供給増による需給バランスの崩れが大きな要因であるが、高度化法による設備処理が実施となったため需給がタイトとなり、業転は値上がり仕切との価格差が是正されるとみられている。
元売も3月期決算が赤字となったことを反省材料として「コストを回収する」ことを強調しており、黒字転換を図ることにしている。4月以降、足元の原油CIF価格は値下がりしているため、マージンは回復しており、元売はすでに黒字に転換しているとみられている。
一方、販売業者にはコスト回収による値上げが実施となるため、マージンを確保するため早急に転嫁しないと赤字となる。減販が続いているためマージン増による利益確保が必要であり、165~166円相場を確保しないと赤字が増加する状況にある。