2014.07.25 のニュース
ガソリン低在庫でも業転上昇せず-業転は系列玉と同じ扱いで安定供給-
ガソリンの元売在庫は170万キロリットル割れ、前年比では40万キロリットル減の低位で推移しているが、需給面でみると逼迫感は薄い。最近は低在庫で推移しても需給に反映せず、逆に業転市況が値下がりするケースもある。その要因は、販売減が予想以上に大幅であることもあげられるが、業転の定義が変わり、商社経由の玉は元売系列と同じ扱いとなっているため在庫が低位となっても供給は確保されていることになり、業転玉は系列玉の中に織り込まれており供給不足の心配はなく、安定供給が確保されていることになる。
業転玉とは、元売系列以外のルートである商社系、無印SS・PB、異業種のHCなどに供給されており、そのシェアは20~30%あるとされている。数量も増加しており地域によっては業転が30%を占めており、系列特約店のSSでは割高となり、太刀打ちできずに苦戦が強いられている。業転と系列との価格差は現在も4~5円/リットルある。
業転玉は、商社、大手販売業者などを経由して供給されているが、扱い数量も多く、余剰玉であるため割安となっている。これらの業者は、元売とは特約契約しているため、あくまでも系列玉の扱いとなっている。ただ、その後の供給ルートを関知することは難しく、大量販売となりボリュームディスカウントもある。減販傾向にある状況下では、新規の販売ルート確保がシェア拡大には重要となるため、元売も業転ルート開拓には力を入れている。
一方、特約店ルートとなると、小規模でフルサービスSSが多く、販売数量は少ない。信頼関係は強いが、減販により撤退するケースも多く不安感がつきまとう。特約店サイドも苦戦が続き、守り経営となり、セルフSSを建設して拡販に乗り出す積極性も欠き、シェア維持が精一杯となっている。
シェアを確保するための元売の戦略は、セルフSSを運営するPB、HCなどに供給を確保することになる。その結果、販売子会社でシェアを拡大する方針で臨んでいるが、一方では、PB、HCなどへの販売には魅力があり、商社、大手業者などを通じて供給している。結局これらのSSには、元売の系列玉が供給されていることになる。海外が安値となれば輸入で対応することもあるが、今のところ海外高であるため国産(元売玉)で手当てしている。
最近は、設備処理と製油所の定期修理が重なり、ガソリンの需給が締まり、小口の業転玉の出回りは減少しているが、大口ルートの業転玉は確保されている。そのため在庫が減少しても供給面では問題がない。
特約店サイドでは「大手の無印SS、HCなどは、資金力、販売力からシェアを拡大する方向にあり、元売の対応も違ってきた。元売は業転玉を放出していないとしているが、現実には元売の玉が供給されている」と反発している。HC、無印SSに対しての供給先を突き止めるため流通証明の添付が実施されているが、仮に供給元売が判明した場合でも、該当した元売に対して自粛を求めることができるのか。また、業転玉とは何かとの定義も問題となり、業転を無くすことは不可能であるため解決策はない。結局は、石油業界内で新しい秩序が形成されることを期待することになる。