日刊ニュース

2014.07.29 のニュース

不信感を払拭するために

 「ぜんせきweb」では、6月定例アンケートで元売の仕切改定方式について聞いた。新年度に入って、大手元売が相次いで仕切り改定方式を変更したことから、石油販売業者としての受け止め方を把握しておきたいというのが目的だった。詳細は既報なので避けるとして、気になることがあったので触れておきたい。
 今回の仕切り改定方式の変更における最大のポイントは、“市場連動方式”から“コスト積み上げ方式”への変更だろう。もっと端的に言えば、それまでの特定の指標価格に特化した方式から、コスト積み上げを軸とした独自指標の導入に踏み切ったことだろう。問題は、この独自指標の算定方法がいまひとつ明確ではないため、変更後の改定方式が極めて不透明に感じられる点である。これは、具体的な意見として記載されていた「勝手な方程式を作り上げているだけ」「ブラックボックス化に反対」といった声に象徴されている。
 かつて仕切価格は“コスト積み上げ方式”を自称しながら、その実、限りなくブラックボックスに近かった。こうした状況の改善と仕切体系の透明化を求め続けた全石連に対して元売各社が示した回答こそが、まさに“市場連動方式”であり指標価格の導入だった。そうした透明化へ向けた取り組みが、年々その効能を失っていったことで、コスト積み上げを軸とした今回の方式に回帰せざるを得なかったとも言える。
 今回の変更が販売業者にとって吉と出るか凶と出るかは、「少し様子を見ないと評価はわからない」との回答が43%を占めたことからも、一定の時間が経過しないと明確にならないことは確かだろう。ただし、同じく43%を「元売の恣意的な値決めが横行するため、販売業者に対する差別的な対応が拡大する」との回答が占めたこともまた事実だ。ブラックボックス化に対する販売業界の不信感は根深い。
 紆余曲折を経て至った今回の変更だろうから、そう簡単に次の一手が打てないことは想像に難くない。しかし、少なくとも元売各社には、販売業界側のこうした不信感の強さをぜひとも理解しておいてほしい。そして完璧ではないにせよ、少しでもその不信感を解消する手立てを模索し続けてほしい。販売業界が不信感を払拭して元売への信頼感を取り戻すこと。それこそが、安定した市場を構築する第一歩となるからだ。

提供元:全国石油商業組合連合会
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