日刊ニュース

2014.10.02 のニュース

高価格にも一喜一憂しない

 自動車の低燃費化が加速している。過去との比較が可能な10・15モード値でのガソリン乗用車の平均燃費値は2012年度で㍑21・1㌔㍍と初めて20㌔㍍台を突破した。15年前の12㌔㍍から7割以上も改善した。
 とりわけ軽自動車の燃費改善は著しく、いまや30㌔㍍超のモデルが目白押しで、各社ともモデルチェンジでライバル車の燃費を超えるたびに「クラストップの燃費を実現しました」などとそのPRにも余念がない。そして、この燃費向上を支えているのが、低燃費化に向けて磨き上げられているガソリンエンジン技術だ。
 これまで低燃費車の代表格となっていたのはハイブリッド車(HV)だった。ガソリンエンジンに電気モーターを組み合わせることで、ガソリン使用量を減らし燃費性能を高めてきた。しかし、HVは大型のリチウムイオンバッテリーなどを搭載するために、車体価格は同クラスのガソリン車よりも高価格になる。燃費の面ではHVが優れているが、自動車販売が急速に伸びている新興国ではまだ価格面でガソリン車のニーズが強い。各メーカーはHVなどの先進技術を詰め込んだ車を作り、先進国などで販売していく一方で、自動車販売の主役である新興国では低価格・低燃費のガソリン車を販売していくことが基本戦略となっている。
 トヨタ自動車の14年上半期の国内販売で、乗用車(軽自動車と商用車を除く)に占めるHVの比率が初めて5割を超えたという。初の量産型HVだった初代プリウスを97年12月に発売してから16年半、HVの販売にまい進してきたそのトヨタでさえ、ハイブリッド専用エンジンで培った燃焼改良技術などを生かした低燃費のガソリンエンジンを搭載した小型車をこの春から販売し、16年には販売台数の約30%をこのエンジン搭載車にする計画だ。低燃費競争の主戦場は内燃機関、ガソリン車に移ってきている。
 しかし、石油業界にとっては「今後もガソリン車が主流である」と喜んでばかりもいられない。HVにしろガソリン車にしろ、低燃費化の進展は着実に需要を減らしていくことは間違いないし、少子高齢化・人口減など社会構造の急速な変化も相まって、需要減が加速していく危険性もある。それは給油頻度が月3回から2回に、2回が1回にと減っていくことを意味する。高価格にも一喜一憂しない適正マージンに裏打ちされた経営の構築が重要であろう。

提供元:全国石油商業組合連合会
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