2014.10.06 のニュース
出口なき競争環境からの脱出
今年度も下半期に突入した。上半期は記録的なガソリン内需減とそれに伴い発生する過当競争がガソリン口銭を圧縮させた。「量」と「質」の両方でダブルパンチを受け、天候不順から夏場の洗車収益も失った。三方行き止まり出口なき競争環境の始まりを予感させる状況だった。
SS経営の今後を「量」に求めるという経営者は少なかろう。確かに1SS当たりの平均販売数量は伸びているが、これはガソリン内需減を上回る速度でSS減少が進んだためで、早晩この構図は逆転するだろう。実際、今年度のガソリン内需減は想定以上である。前年比で4~8月平均が6%減、消費増税の影響があった4月を除く5~8月平均でも5・2%減となる。これに対して、14年度末の全国登録SS数は前年比4・5%減にとどまる。内需減が本格化する中、生き残れば残存者利益が得られるという構図は消えつつある。
一方、「質」についてもいまやガソリン口銭だけでないという指摘がある。油外いわゆるカーケアビジネスを積極化するSSが増えている。中には月間油外収益1千万円超という桁違いのSSも存在する。SSのカーケアはその高い来店頻度が武器。競合するカーディーラーなどに対しここで優位に立つが、本格化するガソリン内需減によって、このビジネスモデルにも揺らぎがある。ガソリンが減販すれば来店客数が減少しカーケア収益も落ちると考えるSSがあるのだ。逆にいえば、カーケア収益の低下は来店客数減が要因と判断し、顧客確保のため安値量販に走る悪循環を生む。ガソリン口銭はゼロでカーケア収益で稼ぐというスタイル。特にこうした指向のSSは「カーケア収益欲しさの安値量販」に走る危険性を持つ。
本来、質の追求であり、給油来店客の安全走行を支えるためのカーケアだったが、低マージン競争の中、変容を重ねている。そもそもカーケアビジネスは、SSが取り放題できる未開の大地でもない。そこにはメンテナンスパックという商品を武器に車検、整備、オイル交換などの取り込みを進めるカーディーラーが大きな脅威、ライバルとして存在する。
行き詰まりつつある競争環境からSSが抜け出す出口の1つとカーケアビジネスを位置づけたい。SS間で争い、廉売競争を誘発させ、身を削っている場合ではない。強大なライバルに対抗するため、SS間連携を強めるのが本来であろう。