日刊ニュース

2010.11.05 のニュース

石油対策予算は仕分けの対象外 ―今後は環境税と石油税の増税が議論に―

政府の行政刷新会議は、29日にエネルギー特別会計の事業仕分けを審議したが、石油・天然ガス対策関係予算は仕分けの対象とならなかった。石油・天然ガス対策はエネルギー安全保障の立場から削減の対象から外れていた。
 現在、エネルギー特会の予算規模は約7000億円である。うち、エネルギー需給勘定が5000億円、電源開発勘定が2000億円となる。エネルギー需給勘定の5000億円のうち石油・天然ガス対策、エネルギー高度化対策が各2400億円となり、この財源5000億円は石油石炭税となっている。
 問題となったのは、太陽光発電導入を経産省、太陽熱利用システム普及を環境省と、同じ事業を実施している点で、両者を一本化することになった。太陽光発電導入支援補助は2割圧縮、太陽熱利用システムは予算計上の見送りとなった。
 また、エネルギー需給高度化対策はCO。削減という政策目的から、経産省、環境省以外の省でも使えるようにした。
 環境省は、環境対策を実施する役所であるが、独自の財源を持っていない。対策を打ち出すにも自前の財源がなく、苦しい立場にある。そのため、エネルギー特別会計から年間約400億円が環境対策費として拠出されている。それに加えて、毎年、環境省として独自の環境税(温暖化対策税)構想が打ち出されているもの。しかし、環境税構想に対してはその都度、産業界、経産省が反対しており、年末の税制改正では議論となるものの見送りとなっている。その妥協案としてエネルギー特会から環境省に予算が流れることで、一広の決着をみた。だが、今回、温暖化対策基本法を再度、国会に提案しかのを機に、環境税構想が浮上してきた。
 温暖化対策基本法の中には、①環境税、②排出量取引き、③太陽光発電などの買取制が、セットで織り込まれており、同時に議論されている。そのうち、環境税は、今年の年末の税制調査会で来年度導入の方向で検討することになっている。
 この動きを先取りするかたちで経産省は、石油石炭税の増税を打ち出した。現行の石油税は2040円/KLであるが、これを1000円程度引き上げる案である。この増税分を環境対策に充当することを狙っている。一方、環境省は、新しい財源をガソリン税の暫定税率に求める環境税を打ち出している。環境税の創設となると抵抗も強く、難航も予想される。環境税の創設となっても、予算の使途となると具体案は乏しいのと、既存の政策と重複することで無駄が指摘されている。すでに環境対策に対しては予算を計上して実施しており、さらに、省エネルギーの補助金、森林整備、社会福祉などに予算を使うととなると、環境税にはなじまない。
 まだ、経産省と環境省との調整は行なわれていないが、経産省の石油税増税には反対もあるが、既存税制の増税であるため、かなり実現性をおびてくる。温暖化対策基本法の成立、CO2の25%削減達成の工程、その中味などの基本方針が未定であり、見通し難となっている。事業仕分けによる来年度の予算審議となると与野党の対立からみて時間切れが心配されている。

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