日刊ニュース

2014.10.21 のニュース

資金繰り悪化の懸念浮上する

原油価格が底を抜けたように続落している。2008年のリーマンショックには及ばないものの、12年の欧州財政危機時に発生した急落に並ぶ勢いで、しかもいまだ現在進行形の様相だ。
 過去に幾度か起こった原油価格の急落だが、今回はこれまでと大きく異なる点がある。それはSSにとっての主力商品・ガソリンの内需減が本格化する中で発生していること。価格の下落と販売量の減少が招くのが売上高の減少で、日々のSS経営上、売上高の減少によって浮上する最大の問題が資金繰りの悪化である。
 大なり小なり毎年秋口に起こる問題だが、今回は減販と価格急落という要素が加わり深刻化する恐れが大きい。小売価格の低下は、想定を超えている。さらには従来並みの販売量を予定して資金繰りの計画を立てることも難しくなっている。先般開催された全石連経営部会でも浜田部会長が「ガソリン需要減が想定以上に進む中、粗利も低迷。さらに資金繰りの悪化と、SS業界は現在“3重苦”の状態」と危機感を示し、資金繰り対策の緊急性を訴えている。
 資源エネルギー庁の石油統計速報、小売価格調査から算出した業界全体のガソリン売上高推計は4月=6628億円、5月=前月比8・9%増の7220億円、6月=0・5%増の7253億円、7月=5・9%増の7679億円、8月=9・7%増の8425億円となる。消費増税や原油高に伴う小売価格の上昇、さらに大不振の夏商戦だったとはいえ、春から夏へ向かう市場環境だったため、売上高は右肩上がりで推移した。
 これが9月から一転する。小売価格は8月から値下がりが始まったが、8月は前月比0・8円安の169円、9月は1・9円安の167・1円と下げ幅が拡大。一方、正式な統計データは未確定だが、元売各社からの情報や石連週報をベースに9月の販売量を前年比3・9%減の445万㌔㍑と仮定すると、その売上高推計は前月比11・8%減の7434億円、今年度に入り初めて前月対比で売上高が減少することになる。
 元売出資の会社やコミッションエージェント主体の場合などは影響軽微だろうが、独立経営型の販売業者にとって資金繰り悪化は難題である。本来は最近顕著にみられる想定以上の事態も踏まえてSS収支を確保するべきだが、長引く廉売競争、それに巻き込まれ財務体質が消耗したSSにとっては窮地そのものだ。

提供元:全国石油商業組合連合会
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