2014.11.25 のニュース
石油の需要は増加が続く 原発廃止は安全保障のリスク高める
総合エネ調基本政策分科会第15回会合が、19日に開催された。
来日中のファンデルフーフェンIEA事務局長が「エネルギー見通し2014」の概略を説明した。
「現在の市場の緩和によって将来に向けた困難な課題を見失ってはならない」と問題点を提起した。
①中東の混乱が将来の石油需要への懸念を高める ②欧州への天然ガス供給の安全保障をめぐる議論が再燃すると指摘した。
節目となる2015年のパリ気候変動会議に向けて状況は様々であり、①CO2排出はほとんどの地域で拡大し、世界全体で増加継続、②化石燃料向け補助金は5500億㌦で、再エネ向けの4倍以上となる、③エネルギー効率化への対応強化は結果を出しつつある、と分析した。
石油情勢としては、米国、カナダ、ブラジル、中東における石油生産は今後とも増加する。短期的な市場の緩和見通しによって、将来のリスクを見逃してはならない。需要は2040年まで日量104百万バーレルに増加し、イラクや他の中東への依存度が強まる。
世界のエネルギー情勢が激動する中で舵取りのポイントとしては、①世界のエネルギー問題において、地政学と市場の不確実性によりエネルギー安全保障の優先度が上昇する、②原子力発電は拡大し、一部の国に増加が集中するため、コスト、資金調達及び人々の
懸念が主な壁となる③2015年のパリの気候変動会議において明確な方向性が示されなければ、世界の気温上昇は2度C目標を大幅に逸脱する、④風力及び太陽光発電の急速な普及に伴い、電力市場及び助成スキームの設計に細心の注意が求められる、⑤原子力発電がなければ、日本のエネルギー安全保障上のリスクは高まり、気候変動及び経済の目標実現はより困難になる見込み。バランスの取れたエネルギーミックスの追求が必要である、とし
ている。