日刊ニュース

2015.02.23 のニュース

歪む仕切りが市場の阻害要因

原油暴落時に発生した矛盾、いわゆる業転格差の問題が解消されないまま、原油相場が反転し始めたため、市場における歪みがより大きくなっている。特に歪みは仕入れ交渉能力の弱い系列中小SSを直撃している。
リーマンショックを凌ぐほど長期化していた原油暴落が上昇に転じている。円建ての中東産原油の底値が1月中旬には㍑32.1円だったのに対し、足元の2月中旬は43.8円に跳ね上がり、上昇幅は11.7円に達する。「ジェットコースターのような相場」(燃料商社)と戸惑いの声が上がる中、大手元売も相次いでガソリン系列仕切りの大幅上げを通知している。直近4週間を累計すると6.5~9円の大幅上げである。
原油暴落時において、値下がりは原油、先物、海上現物、陸上現物、系列仕切り、小売市況の順で概ね起こる。ちなみに、今暴落の底値はガソリン税込みで先物100.7円、海上101.7円、陸上101円、これに対して系列仕切り111~2円と推定される。陸上現物と系列仕切りの底値差は10円超に達する。そして、この格差が平準化されないまま反転を始めた。「系列仕切りが下げ切らないうちに値上げに転じた」と断じる販売業者が多い。
さらに理屈だけで考えれば、上昇局面は下落時と逆の現象が起こるはずである。要するに先物、現物各指標が先に反転し、それを系列仕切り、小売市況が追いかけるという構図である。ところが市場の実態はどうか。原油連動の色合いが濃い先物、海上現物はやや早めに上昇したものの、陸上現物と週決め系列仕切りはほぼ同時期に底打ちになった。しかも10円超の格差を残したままだ。系列仕切りについて「下落時は原油コストを要因に下げ渋る一方、上昇すると急に市場連動の要素が強まり、足早に値上げ通知がくる印象」(系列SS)と、不公平感が漏れる。
昨年末以降、系列によっては月末に後調整と称される値引きがあるとされ、実際の業転格差はそれほど大きくないとの指摘もあるが、販売業者からは「そんな対応はない」、「調整も不満足な水準」の声が多く聞かれる。むしろ、後調整の存在が仕切り水準への疑心暗鬼を強めている。足元の原油上昇に伴い、コスト転嫁が急務の課題だが、その土台になる仕切りが不透明に歪んでいては、健全かつ適正な小売マーケットの構築は至難の業となる。

提供元:全国石油商業組合連合会
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