2015.05.07 のニュース
内憂を改め外患に備えよ
天気予報は期間を通じて全国的に恵まれる模様。小売価格は165円から139円になった。今年のSSのゴールデンウィーク商戦は、ダブル増税と原油高による高値、さらには前後半1回ずつの天候の崩れにより、大きく当てが外れた前年とは打って変わり、全般的には活況を呈する前提条件にある。心配事はただ1つ、それはガソリンの採算性だ。
前年のGW前の都道府県別小売価格は、最高値172・4円、最安値159・1円で13・3円の値差だったが、今年は148・1円と133・8円で値差は14・3円へと拡大している。県平均の値差が1円拡大したという事実は、個別SSでみれば大きな値差を伴っているということであり、激戦地で一段と価格競争が激化している近況を映している。この激戦を誘発しているのが卸価格差であるとしたら、天候に恵まれ、数量面でも朗報となりそうなGW商戦だが、SS専業の今後を見据えると、大きな不安に包まれる。激戦地の震源はPBや子会社SSではなくなり、新規参入の異業種SSとなる予報図が見える。
既存の販売先よりも、新たに参入しようとする者を優遇する経営判断がされやすい。これが市場規模よりも大きな生産能力を抱える装置産業の宿命であろうし、偽りのない国内石油産業の姿であろう。新たに参入の機会をうかがっているのはカーディーラーであり、大手流通業であり、「会員の皆様への可能な限りの低価格を実現する」米国系の会員制大型小売店舗である。
透明というよりも不透明極まりない。公正というよりも不公平以外の何者でもない。予見性に関してはほとんど皆無。SS専業者と元売が石油村の中で、牛歩の議論を重ねているうちに、既存SS間での相対的な満足と不満足を表現しているうちに、新規参入者にSS小売市場を席巻させる要因が、むしろ拡大しているように見える。不合理な卸格差が、すべての専業者の致命傷になりかねない構造を我々が有していないだろうか。こうしたリスクがあるとしたら、激震が起こる前に、その要因の排除にこそ、石油業界の力を集中すべきであろう。大きなうねりが石油販売業界に迫っていることを見据え、今日まで地域社会を支えてきた石油のサプライチェーンの健全性を維持するために、透明かつ公正な競争条件を整えなければならない。