日刊ニュース

2015.05.18 のニュース

ニーズを汲む観察眼を磨こう

2014年度のガソリン販売量は4.5%減と大きく落ち込んだ。内需が構造的な減少基調をたどる中、激烈なシェア競争が広がりを見せ始めている。特約店などに通知される元売の仕切り指標をもとにすれば、量販店の店頭表示から試算されるマージンは5円未満、あるいは仕入価格並みか、それを割り込むようなケースも少なくない。度が過ぎている。いったい、どうなっているのか。
 石油協会・石油製品販売業経営実態調査によれば、13年度の1SSあたりレギュラー平均マージンはセルフ=8円、フル=11・9円だったが、近況から推察すると、事業環境は一層厳しさを増している。石油小売業者の願望は「ガソリンで商売が成り立つこと」だが、需要減の中で「他SSより1㍑でも多く」「せめて前年並みに」「量さえ出せばなんとかなる、してくれる」という指向が混在する中、「油外」に力を入れざるを得ない状況に追い込まれている現実がある。
 経営実態調査では、異業種進出・転換の計画も聞いているが、その最有力に挙げられたのは「自動車販売」だった。SS業の核心をなす“クルマ”の導入段階から関与し、点検整備・車検、タイヤやバッテリーなどの消耗品販売、もちろんガソリンや灯油の供給に広く関与しカーライフ全般をお任せいただく。カーディーラーが車両販売時点での囲い込み強化を図っているのも然り。だが、それでも経年により点検・車検入庫率は下がる。確かにディーラーの評価は高いが、「担当者の変更」「調子うかがいなど対話機会の減少」で信頼感が薄らぐ傾向もみられる。
 14年度の乗用車内需は、新車の登録車が269万台、軽4輪が176万台の計445万台に対し、中古車の登録車は320万台、軽4輪は233万台の計553万台だった。1SSあたり単純平均で、新車130台程度、中古車160台程度の“新顔”が店頭に訪れるようになった格好だ。乗り換えユーザーが多いだろうから、ドライバーは同じでも、クルマが変わったかも知れない。さて、「人とクルマの顔」は一致しているか。
 自動車関連産業には強豪がひしめいているが、SS業界は、この“気づき”を有効活用するチャンスを最も多く持っている。油外強化の出発点は、来店客の変化やニーズを見過ごさずに汲み取る観察眼と情報収集力にもあるのではないか。

提供元:全国石油商業組合連合会
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