日刊ニュース

2015.05.19 のニュース

疑念広げる販社姿勢

利益なき過当競争によってSSの経営継続を断念する事業者が後を絶たない。もちろんエコカーなどの普及によるガソリン需要の減少も影響している。これほど利益にならない商売ならば、身内に跡を継がせることを躊躇する方々も多いだろう。
 その結果、廃業を決めたSSの中で立地条件の良い一部のSSが、元売販売子会社のネットワークに組み入れられていく。元売側は「当社は積極的に子会社を増やそうとしているのではない。特約店から運営を引き継いでもらえないかと頼まれたので引き受けている」と説明する。一部にそういう要請があるのは事実だろう。しかし、特約店の本意ではなく、長く続く量販競争に耐えかねて仕方なく経営をあきらめる事例がほとんどだ。採算が合えば経営を続けるに決まっている。
 元売と特約店の関係は、子会社という存在がなかったころのほうが、透明でしっかりした連携関係にあったといわれる。元売はメーカーとして、系列特約店に対し他社系列より有利な取引条件を示して少しでも市場競争で優位に立てるよう支援する。特約店は販売店とともに、任された商圏で責任をもってシェア確保・増大に尽力する。それが系列全体の利益につながったからである。それが普通だった。
 しかし、その商圏内に元売が100%資本出資する子会社が入ってきてからその関係が変わった。特約店側はまず元売の扱いが公平かどうか疑う。同じ市場の系列外の量販業者などとぎりぎりの競争をしている時に、元売が自社の資本が入っている子会社よりも特約店側を有利に扱うことは、普通で考えればあり得ない。
 「取引条件は特約店も子会社も同じだ」と元売は説明するが、現在のように全国にネットワークを形成するに至った子会社が、他系列やPBの量販業者と地域最安値で競り合っている販売姿勢を見れば、元売の系列店政策に疑念を抱くのは当然のことだ。
 元売との信頼関係は欠かせないはずなのに、いまの子会社のなりふり構わぬ販売姿勢が、その関係にヒビを入れ、亀裂を大きくしているのである。販売業界側からは「メーカーはメーカーとして、小売は小売として、役割分担を明確にすべきだ」という声が再び出ている。系列特約店のこんな声に、心あたりのある元売は耳を傾けてほしい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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