日刊ニュース

2015.05.26 のニュース

クルマ選択を歪める補助制度

国を中心としたEV・PHVなどクリーンエネルギー自動車普及促進策が進んでいる。2014年度補正予算や15年度予算によって、自動車の購入補助のほか、EVなどの充填インフラの設置補助などが行われている。
 具体的には、クリーンエネルギー自動車等導入費補助金として300億円を措置。EV、PHV、クリーンディーゼル車(CDV)、燃料電池車(FCV)などの購入費用の一部を補助する。また、充電・充填インフラ整備に対しても、300億円を措置し、充電器の購入費用から設置工事費用の一部まで補助される。
 さらに、高速道路利用実態事業として、EV・PHVを対象に、今年5月から首都高速道路と阪神高速道路を除く全国の高速道路を利用した際の料金の一部も補助するという。5~8月末までは対象となる高速道路を利用した際、1回あたりの料金で1千円を超えた場合、その超過分を全額補助する。また、9~12月までの期間は、料金が2千円までの場合、1千円を超える分を補助し、2千円を超えた場合は料金の半額を補助する。
 事業目的は、EV・PHVの高速道路利用を増加させ、高速道路上の「充電器ニーズ」に関するデータを収集するための“調査協力費”という名目だが、実質的な高速料金の割引で、明らかにEV・PHVユーザーへの優遇策だ。FCVへの社会的な関心や注目が高まる中で、その新鮮味や注目度が薄れつつあるEV・PHVの短期的な普及促進策としての一面が垣間見られてならない。
 一方、ガソリン車ユーザーは自動車の購入・保有にかかる税金に加え、コスト構造の約5割がガソリン税や石油石炭税、消費税の税金で占められる燃料課税まで負担している。さらに、石油業界の視点でみれば、SSが日々お客様からお預かりしている税金を原資に、ガソリンの需要減に拍車をかける次世代自動車の普及拡大まで後押ししている。
 自動車の新技術や技術革新を目指すことを目的に、初期需要の喚起に向けて、補助金を付けたり、減税を行う政策を否定するわけではないが、これらの政策はおのずと限度があってしかるべきだろう。燃費水準の向上で、EV・PHVに匹敵する環境性能を保持するガソリン車も次々に発売されている。自動車ユーザーの自由な車の選択を歪めるものであってはならないはずだ。

提供元:全国石油商業組合連合会
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