日刊ニュース

2015.06.04 のニュース

石油の主張、SSの主張

同じ体積で天然ガスの3倍、水素の2900倍のエネルギー密度を有するガソリン。灯油や軽油はガソリンのさらに1割増しだ。極めて有事対応力が高いという勲章を得たエネルギーでもある。
 ところが、総合資源エネルギー調査会では、エネルギーセキュリティーの観点から、特に運輸部門における脱石油が大きなテーマとなり、政策的にクルマにおける脱ガソリン・軽油を進めようとするベクトルが見える。家庭用・事業所用・農林漁業用における灯油・A重油から、LP・天然ガスへの政策誘導も進む方向にある。その結果、ガソリンは年率1・8%減(石油天然ガス小委)~2・4%減(石油製品需要想定検討会)、灯油4・0%減(石天小委)、A重油4・2%減(同)という見通しが立案されている。
 資源エネルギー関係の予算は、エネルギー対策特別会計が大勢で、その総額は2015年度は7965億円。特会のうち最大がエネルギー需給勘定5973億円で、電源開発促進勘定、原子力損害賠償支援勘定に3分類される。エネ勘定の原資を構成する石油石炭税6130億円(14年度予算ベース)は、一般会計に繰り入れられることで、石油との因果関係が希薄化され、エネ特会に組み込まれて、実質的にエネ勘定を構成する。石油石炭税収の8割強、約5千億円は原油・石油によるものとなる計算だが、油ガス田開発から備蓄・精製、SSに至る燃料安定供給対策への使途は2766億円(15年度予算ベース、前年度比71億円減)で、3207億円(同)がエネ需給構造高度化対策に回っている。
 ガソリン税や軽油引取税に類する税金を一切負担しない。この特権を付与されているのがFCVや天然ガス車である。「FCV1台」に200万円を支援し、液化・高圧化の設備投資を支援することは国是なのだろう。しかし、もうこれで十分であろう。これ以上の支援が必要なエネルギーは、日本のエネルギーをガラパゴス化させる懸念もある。「FCV1台」という言葉を「新生児1人」に置き換えてみれば、国がリードすべき限度が、より鮮明に見える。
 石油の内需減にさらに拍車をかける政策は、SSの経営基盤を政策的にき損し、ただでさえ脆弱な中小企業・過疎地SSの生命力を一段と削ぐことになる。これ以上、石油を貶めるような、SSを弱らせるような政策的誘導は不要である。

提供元:全国石油商業組合連合会
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