日刊ニュース

2015.08.10 のニュース

ディーゼル復権の兆し

国内乗用車メーカー大手8社が発表した2015年上期の販売実績によると、国内販売台数は前年同期比で12%減の244万台と大きく落ち込んだ。三菱27%減、ホンダ18%減、日産、スズキ16%減などと軒並み2桁減が並ぶ中、マツダと富士重工の2社がプラスとなった。ただし富士重工は0.3%増とほぼ横ばいに近いことから、上期の国内販売に関しては15%増を達成したマツダのほとんど“独り勝ち”の状態だったといえる。
 最大の要因は、今年2月に同社が新たに投入したコンパクトSUV「CX-3」を筆頭としたクリーンディーゼル車の好調さにある。「CX-3」は、乗用車では同社初のディーゼル専用車で、ディーゼル車に対する同社の積極姿勢が今回の結果を生んだ。
 とはいえ、最近のディーゼル車への傾注はマツダに限ったことではない。トヨタが8年ぶりに国内の乗用車にディーゼルエンジン搭載車を投入した「ランドクルーザープラド」は、発売1ヵ月で当初の販売計画の10倍を達成し、その8割をディーゼルエンジンが占めた。
 ボルボは、日本初導入のクリーンディーゼルエンジンを主力5車種に搭載し先ごろ発売した。同社がディーゼルエンジン搭載車を日本市場で販売するのは32年ぶり。今後、クリーンディーゼル搭載モデルを販売の主軸に据える方針という。
 99年から00年にかけて東京都が展開した「ディーゼル車NO!作戦」によって、ディーゼル車は一気に、黒煙を撒き散らす“悪役”に位置付けられた。その後、車の側、燃料の側両面から様々な技術革新が図られ、大幅な性能向上と排ガスのクリーン化が進んだが、ディーゼル車そのものへの負のイメージは払拭し切れず、販売台数もとことん落ち込んだ。
 そうした中で、国内そして欧州の乗用車メーカーの多くが、ここへきてディーゼル車に対して明確なゴーサインを打ち出し、それが徐々に実を結び始めたことは大きな意味がある。ディーゼル車のシェアは1桁台前半で道のりはまだまだ厳しいが、化石燃料の中に、厳しい環境規制をクリアし次世代対応として評価されるクリーンディーゼルが存在することは、石油業界に身を置く者にとってのひとつの希望だ。この流れがどこまで広がるか。今後のディーゼル復権への道のりを見守りたい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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