日刊ニュース

2015.08.11 のニュース

石油産業の成長戦略を描け

少子高齢化の進展による人口減少に加え、低燃費車の普及、燃料転換などによって、石油製品の需要は2015年度から19年度までの今後5年間で、年平均1.3%、全体で6.4%の減少が見込まれるなど、内需縮小が顕在化していく。一方、1次エネルギーの国内供給における石油の割合は、30年度でも3割を占めることが見込まれ、最大のエネルギー源であることに変わりはない。
 資源エネルギー庁の資源・燃料分科会が先月まとめた報告書でも、「石油は可搬性・貯蔵性等の面で電力・ガスよりも優れていることから、危機時に電力やガスの供給に支障が生じた場合には、エネルギー供給を支えるラスト・リゾート機能が期待される」とし、その供給を担う石油産業は「平時・非常時を問わず我が国産業と国民生活を支える重要な機能を有しており、国際競争力強化を通じた収益基盤の安定化は、国のエネルギーセキュリティにかかわる極めて重要な課題である」と、製油所・油槽所そしてSSに至る石油サプライチェーンの重要性とともに、経営基盤強化の必要性を強調した。
 こうした実態を踏まえ、報告書では終わりに「他に先駆けて自由化を行った石油精製業者には、国内での安定供給という使命を達成するための事業基盤確保のためにも、ちゅうちょすることなく事業再編を進め、今後のさらなる国内でのエネルギー事業の再編や総合エネルギー企業化の先駆者となる資格と使命がある」と迅速な対応を強く求めている。
 ガソリンや灯油などのエネルギー供給を通じて、地域の生活・経済を支える石油販売業には、国内需要減が見込まれる厳しい市場環境下で、安定供給に重要な役割を担う各事業者が事業を継続していくため、「単に販売量の拡大を目指して価格競争を行うのではなく、適正なマージンを確保し、必要な再投資を行うことが求められる」と、再投資可能な適正利潤確保の必要性を訴えた。また、地域コミュニティを支える燃料安定供給の役割を担うSSが、石油製品配送の高度化・合理化などを通じて、石油製品販売のビジネスモデルを見直すとともに、石油製品以外のサービス提供などを通じた経営力強化の必要性も訴えた。
 精販ともに目先の販売量だけを追い求め、採算度外視の価格競争による消耗戦を繰り広げていては、成長戦略は見出せないと肝に銘じなければならない。

提供元:全国石油商業組合連合会
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