日刊ニュース

2015.08.13 のニュース

メジャーなき後の日本市場

石油メジャーは世界的に石油の小売事業から撤退している。それだけ石油開発など上流部門が激動しているのだろう。ただ、そんなメジャーの動きが、これまで必要性が指摘されながらも、なかなか進まなかった国内元売再編の歯車を突き動かしているのは興味深い。
 7月30日夕方、出光興産と昭和シェル石油が共同記者会見を開き、英蘭系石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルが保有している昭シ株のうち、33.3%を出光が取得することを明らかにした。その結果、出光が昭シの筆頭株主になることとRDシェルの国内撤退が事実上確定した。RDシェルは子会社のシェル・ペトロリウム・カンパニー・リミテッドとザ・アングロサクソン・ペトロリウム・カンパニー・リミテッドの2社を通じ35%の昭シ株を持っていたが、今後はアングロサクソン社の持つ1.8%の株式を保有するにとどまる。
 石油メジャーの撤退劇は2012年のエクソンモービル以来、約3年ぶり。いずれも前身の会社は明治時代に日本へ進出した。外資ではあるが、国内の元売に勝るとも劣らぬ長い歴史を持つ。そう考えれば一連の撤退は国内石油業界にとって一大転機でもある。戦後、冷戦時代を通じ、石油メジャーの戦略は国内の石油業界に大きな存在感を示してもきた。
 中でも、87年に昭シが発売したハイオクガソリンのフォーミュラシェルは記憶に残る。F1ブームが背景にあったが、差別化できないと言われてきたガソリンという商品に付加価値の可能性を感じさせた。
 現在(今年4月時点)の東燃ゼネラル石油に対するエクソンモービルの出資比率は9.9%、12年に大きく売却した後も年々低下し、10%を割り主要株主ではなくなった。一方、RDシェルは1.8%、昭シと出光が経営統合の協議を進める中、議決権の問題もあり当面は変わらないだろうが、両方とも末永くいまの出資比率を保つのかはわからない。
 昭シと出光の経営統合が順調に進めば、来年には「JX」と「出光+昭シ」という民族系色の強い2大元売グループが誕生する。業界健全化に向け、民族系資本の真価が問われる時代がいよいよやって来るのである。これで最終形ではないとの指摘も多いが、2大グループの実現はそれを軸にした再編を今後展開させる。元売間の再編は最終局面を迎え、否が応にも注目が集まる。

提供元:全国石油商業組合連合会
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