日刊ニュース

2015.08.24 のニュース

盛夏の失敗を取り戻す商機

6月第3週をピークに10週連続の値下がりを記録したことで、中東産原油は㍑10.7円値下がりし、ガソリン海上は14.3円、ガソリン陸上は14.6円値下がりした。原油見合いでガソリン卸の値下がり幅が大きくなったことで、精製元売のガソリン粗利は差し引き2円前後、低下したことを意味する。下降したとはいえ、1-6月期および4-6月期の元売決算発表にみるガソリン収益の良化に現れているように、この間のガソリン粗利は高水準で推移していた。そこから小幅に下振れしたという概況であり、値下がり基調に暑い夏が持続したという天候要因も追い風となった内需の好調さを含めて、元売におけるガソリンの収益性は、ここ数年の中でも優等生の部類に入る状況は続いている。依然として建値的な系列仕切りに至っては、6~9円程度の引き下げにとどめているから、原油見合いでの系列ガソリン収益は、外見上は一段と良化しているように映る。
 一方のSS小売業界における夏ガソリンの評価は、小売価格面では7月第1週以降6週連続の値下がりが持続しているが、全国平均では累計7.0円(消費税別6.5円)の値下がりにとどまり、多くの地域でSSのガソリン収益は良化しているように見える。ただし、小売価格の値下がりは周回遅れで持続する傾向にあるから、今週も同程度の下げが発生するようだとしたら、ほぼ系列仕切り見合いとなる見通しだ。
 さらに、例年の夏商戦と同様に、大きな地域別の明暗が生じている。関東広域でプライスリーダー格のホームセンターSSは、ピーク比で14~16円(消費税別13.0~14.8円)幅でガソリンを値下げしている。業転価格にほぼスライドさせているわけで、同地域の下げ幅は全国平均よりも約2円大きい。一方で、米国系の会員制店舗SSが開所した山形、富山の下げ幅はほぼ全国平均並みにとどまっている。地域SSが姿を消し安値追従型の元売子会社SSばかりとなった前者と、地場SSが踏ん張っている後者の各市場性を踏まえると、小売価格の推移は興味深い足跡が残る。
 10月中旬まで原油価格は値下がりする、という見方が根強い。これからも、ガソリン収益を踏まえたSS経営における自助努力の余地は続くことになる。失敗した夏を過ごしたSSこそ、ここから再浮上の契機としたい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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