日刊ニュース

2015.09.08 のニュース

クリーンディーゼルに追い風

経済産業省は来年度も、次世代自動車に対する購入補助を継続する。当初は補助金を今年度で打ち切り、対象を燃料電池車(FCV)に絞る予定とされたが、次世代自動車比率を2020年までに5割に引き上げるという政府目標を踏まえ、補助を継続する方針だ。対象は電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、クリーンディーゼル車、FCVの4車種。
 EVやFCVはもちろんのこと、PHVにしても電気との併用となるため、車の台数が増えることはそのまま、燃料油の需要減少に拍車がかかることを意味する。4車種の中で唯一、台数の増加が燃料油の需要拡大につながる可能性があるのが、クリーンディーゼルである。
 クリーンディーゼルの燃料は特殊なものではない。ほとんどすべてのSSで販売している、ごく一般的な化石燃料の軽油だ。化石燃料を燃料としているにもかかわらず、クリーンディーゼルが厳しい環境規制をクリアした次世代自動車として位置づけられ、国の補助の対象となっていることに大きな意味がある。一部のSS関係者が強い関心を寄せる所以でもある。
 しかも、軽油はガソリンより販売価格が㍑20円程度安い。昨年、ダブル増税によってガソリン価格が160円台にまで上昇した際、それだけで需要が落ち込んだことを考えると、20円の差はドライバーにとって決して小さくないはずだ。ガソリン需要の落ち込みが避けられない中、クリーンディーゼルの拡大は、化石燃料の需要掘り起こしにも直結する。
 ただし、欧州では新車販売台数の50%以上を占めるといわれるクリーンディーゼルだが、日本ではまだ1桁台前半にとどまる。EV、FCVほどではないにせよ、日本国内においては、クリーンディーゼルそのものがまだまだ希少種であることに変わりはない。
 そうした中、牽引役のマツダにとどまらず、ボルボやベンツといった高級外車にまでクリーンディーゼルの波が広がり、さらに国が購入補助の延長方針を決めたこのタイミングは、クリーンディーゼルにとってまさに強い追い風が吹き始めた状況といえる。いまなにをするのか、なにができるのか。クリーンディーゼルの価値を認めるすべての関係者にとって、存在感を一気に高める絶好の機会が到来しようとしている。

提供元:全国石油商業組合連合会
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