日刊ニュース

2015.10.13 のニュース

会員制SSの破格値を許すな

「家庭に必要なものをすべて取り揃え、高い品質の一流メーカー品を卸値に近い価格で提供する」という会員制の大型倉庫店で、小売業世界2位の売上高に成長した米国コストコ。ちょうど国内首位のイオンと2位のセブンアイを足した規模に匹敵する。世界9ヵ国に約690店を展開、会員数は個人3270万人、法人630万人という。
 国内では1999年に福岡県久山町に国内1号店を開設、今年に入って山形県かみのやま、石川県野々市、富山県射水|3店が新設されて全国23店となり、年会費3500円(法人)~4千円(個人)を収める会員数は460万人。1店平均20万人の会員数となる。これを世帯数と捉えると全国(5180万世帯)の9%弱が囲われている計算になる。今後も岐阜羽島、宮城県富谷、栃木県鹿沼の3店の新設が明らかとなっているなど、22年までに50店へと倍増する計画だから、会員1千万人(世帯換算で19%)を囲い込む規模が想定される。半径10㌔㍍以内の人口50万人以上の地域が出店の目安というから、新潟市や静岡市、松山市、熊本市、鹿児島市などが新規出店の有力候補地とみられている。
 ガソリンスタンドを併設するコストコガスステーション1号店となった山形県かみのやま、2号店の富山県射水の業態は、いずれも利用するにはコストコ会員証とコストコ指定のクレジットカード、またはチャージ機能付きコストコプリペイドカードが必要で、現金の取り扱いはない。かみのやま113円、射水121円というレギュラーの値付けは、「地域最安値」を構成する競合SSの状況によるといわれる。首都圏プライスリーダーのホームセンター系の千葉県内SSでも119円という値付けの中での113円は、ほとんど不当廉売に映る。
 11月には、獲得会員数日本一といわれる中部空港店(愛知県常滑市)がSS併設店としてオープンし、同じ交差点に新設・安売王SS、イオン系SSがひしめいて「地域最安値」戦争の勃発が避けられない見通しという。ほぼ同時オープンとなる新設の岐阜羽島店もSS併設型で、その近隣には大型フリートSSが集う。ガソリンの不当廉売の構成要素は、①卸価格の実態②周辺への影響③廉売した期間|の3点が判断要素になる。周辺SSは、恐れずちゅうちょせず不当廉売の提訴を積み上げるべきだろう。

提供元:全国石油商業組合連合会
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