日刊ニュース

2015.10.15 のニュース

ディーゼルへの追い風を再び

 ディーゼル車の母国であるドイツの世界的自動車メーカー「フォルクスワーゲン」が、そのディーゼル車にとって致命的ともなりかねない打撃を与えると、いったい誰が想像しただろうか。排ガス検査時のみ排ガス規制モードに切り替わる“ディフィートデバイス”なるソフトの使用により、同社が排ガス規制を不正に逃れていたとされる問題はその後、風評被害の域を超え、自動車業界全体に暗い影を落としつつある。
 欧州のディーゼル車メーカー各社にはすでに問い合わせが殺到しているといわれ、日本国内でも、ディーゼル車の牽引車役を担っているマツダがステークホルダーからの疑問や不安の声に応えるため、「各国の規制に厳格に適合させており、違法なソフトウェア、ディフィートデバイスは一切使用していない」旨のコメントを発表するに至っている。
 さらに、欧米各国がこれを機に公道試験導入などの規制強化に着手する可能性は高く、規制強化はそのまま、ディーゼル車のコスト引き上げにつながるとの指摘もある。そしてそれは、欧州における環境対応車の主流を、クリーンディーゼルからハイブリッドへと大転換させる引き金となるのではないかとの懸念すら生んでいる。
 国内でも、欧州の高級車メーカーが軒並みディーゼル仕様車の発売を打ち出し、国の補助金継続の方向性が示されるなど、ほんの1ヵ月前までクリーンディーゼルに対して追い風が吹いていたにもかかわらず、一気に風向きが逆転するのではないかとの危惧がささやかれ始めている。“好事魔多し”ということか。
 しかし、我々石油販売業界としては安易にこの流れを受け入れるわけにはいかない。化石燃料の消費を一方的に押さえ込もうとするHV、PHV、EV、そしてFCVという環境対応車群に対して、化石燃料でありながら唯一、環境対応車として補助金の対象ともなっているクリーンディーゼルは、石油販売業界にとっても希望だからだ。
 火種であるフォルクスワーゲンはともかく、それ以外のディーゼル車メーカー、とりわけ牽引車であるマツダには、ぜひとも冷静、沈着な対応でこの横禍を乗り切ってほしい。そして、クリーンディーゼルが環境面でいかに優れた存在であるかを改めて強くアピールし、ディーゼルへの追い風を再び取り戻してほしい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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