日刊ニュース

2015.10.16 のニュース

石油の力、揺るぎない重要性

日々進化を遂げる自動車。とりわけ近年は低燃費競争にしのぎを削る。当初はトヨタ自動車のプリウスに代表されるHVが、低燃費の1つの大きな物差しとされるガソリン1㍑あたりの走行距離でトップランナーを走ってきた。ただ、最近ではガソリン車でも軽自動車を中心に㍑30㌔㍍を優に超える車が各メーカーから次々と発売され、HV=低燃費というイメージが徐々に霞みつつある。
 こうした状況の中で、世界に先駆けること1997年にHV・初代プリウスを発売したトヨタがこのほど、4代目となる新型プリウスを初公開した。いまだ燃費性能は確定されていないが、プリウスよりも一回りボディサイズが小さい「アクア」がすでに37㌔を達成しており、4代目は40㌔を目標に開発が進められているという。人口減・少子高齢化の進展など社会構造の変化に加え、若者の車離れなど、自動車市場の先細りが懸念される中で、自動車の買い替えや新規購入を促すような新型車が華々しく登場することは、石油業界にとっても歓迎すべきことであるが、低燃費性能の高い車の普及はガソリンの需要減にさらに拍車をかける「痛し痒し」の感は否めない。
 しかし、14年に閣議決定されたエネルギー基本計画を踏まえて、先ごろ提示されたエネルギー需給見通しでは、石油は30年時点における1次エネルギー供給においても、約30%を占めるエネルギー源最大のシェアを維持する。一方で、シェールオイルという新型の原油が北米を中心に次々に開発され、石油が有限の資源であることに違いはないが、石油が枯渇するというピークオイルは遠のいたとの指摘もある。
 「石油の一滴は血の一滴に値する」。1917年、第1次世界大戦でドイツの猛攻にあったフランスの首相クレマンソーが、米国大統領ウィルソンに宛てた石油供給を要請する電報にそう記したという逸話がある。それから1世紀あまりが経過し、石油製品のコモディティ化が徐々に進んでいるが、石油が経済・社会活動や国民生活を支える必要不可欠なエネルギー物資であることに変わりはない。
 いま石油業界に求められるのは、便利で大切な石油を次世代に引き継いでいくために、石油の揺るぎない重要性を訴え続けるとともに、安定供給責任を全うしていくための適正販売であろう。

提供元:全国石油商業組合連合会
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