日刊ニュース

2015.10.27 のニュース

SS負担回避目指すVOC対策

中小零細SSにとって、「第2の老朽地下タンク問題」となりかねない経費負担を伴う揮発性有機化合物(VOC)問題についての議論が始まった。この作業委員会ヒアリングにおいて全石連は、今年3月に望月義夫環境大臣(当時)に「SS向けにVOC排出抑制策が義務付けられた場合、数百万~1千万円の経済的負担を要することとなる。この結果、零細企業が多い過疎地や離島のSSは存続不可能となり、石油製品の安定供給に支障をきたし、地域社会と生活者の安心・安全が脅かされる事態を招く」として、地域におけるエネルギーの「最後の砦」であるSSへの配慮を再度、強く要請した。
 VOCとは常温常圧で大気中に容易に揮発する有機化学物質の総称で、天気予報でもたびたび登場するようになった「PM2・5」の原因物質の1つとされている。ちなみに「PM2・5」とは、大気中に浮遊する微粒子のうち、粒子径が概ね2・5マイクロメートル以下のものを指し、呼吸器系疾患への影響、肺がんのリスクの上昇、循環器系への影響が懸念されている。
 SSにおけるガソリンVOCは、タンクローリーから地下タンクへの荷卸時(StageⅠ)、お客様への給油時(StageⅡ)-の2場面で発生する。首都圏から近畿に至る都市圏を中心に、StageⅠについては、条例によって回収を義務付けられる自治体もあるが、同様の措置が全国的に求められた場合、ガソリンの地下タンク容量が小さく、販売量も少ない離島や過疎地のSSの多くが、その負担を回避するために、廃業・閉鎖に踏み切らざるを得なくなる。「第2の老朽地下タンク問題」と位置付けられる所以であるが、この図式を避けるために行ったのが、ヒアリングに臨んだ全石連の主張の主旨であり、より大きな負担を強いられるStageⅡについては、給油時ばかりでなく、走行時、駐車時でもVOC回収が可能なクルマ側の対応=ORVR方式を求めた。
 今後、SSのVOC問題は、来年春ごろから環境省関係機関での議論が本格化する。全石連は零細SSの負担回避のために、そのための備えとして、過疎地におけるSSのガソリン地下タンクおよび販売数量のデータ的な収集に入る。対象SSは、自らの負担軽減・回避につながることとしてこれを認識し、石油組合が行う調査に臨んでほしい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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