日刊ニュース

2015.11.16 のニュース

2大元売時代を見据えて

来年の6月末までに3分の1の昭和シェル株式が出光に取得されることとなり、これによって国内石油市場はJXとの2大元売時代を迎える。全国津々浦々を網羅する生産、物流という石油のサプライチェーンを、ほぼ純正で行える2グループとなるが、JXと出光、JXとコスモとの間でそれぞれ締結されている精製物流提携を加味すると、新たな2グループ体制の埒外で、全国区をカバーする元売や商社であり続けることは、ほぼ不可能となる。
 電力などの脱石油による精製設備過剰問題を契機に、1985年に昭和シェル、翌86年にコスモが誕生したが、それでも元売13社を数えた。スーパーメジャーの時代が到来して、EMGに東燃と三井を加えた5社が実質1社となり、日石の主導で、日石三菱-新日石-JXと統合と社名変更を繰り返した世紀末を経て、今日の大手5社+2社の計7元売体制となった。この間、業転問題、系列仕切り格差、不当廉売が疑われる小売政策を誘発するインセンティブ問題などが横たわり続け、廉売による量販のみが唯一のSS生き残りのビジネスモデルであるかのような事実が積み上がってしまった。元売は「我が社は清廉潔白、悪いのは奴らだ」と繰り返した。
 有する経営資源と事業基盤の方向性を見据えたうえで、より良化することが企業統合の目的であろうから、永年の懸案が良化に向かい、より公平で、かつ系列満足度が高まるだろうという期待は持っていたい。ましてや2グループになれば、白黒が明白になることで、従来までの逃げ口上は通用しなくなる。
 元売も、今日ほど系列SSの経営の方向性が定まらない時代は、かつて経験がないだろう。市場収縮という事実を踏まえたうえで、経営基盤を強化するための解を見出すことは困難ではあろうが、それを定めることが最大の系列サポートである。
 元売は元売として、特約店は経営者として、それぞれの自己責任がかつてよりも重い時代を迎える。元売はその責任を貫徹するために、過去の常識や従来のやり方にメスを入れてほしい。米国系の倉庫会員SSが増勢する中で、系列外へ回る可能性の高い販路は、いまのままでよいのだろうか。卸価格指標なき国内石油市場のままで良いのだろうか。2グループに属する系列SSの経営が良化することは、SS業界における最大多数の最大幸福となる。

提供元:全国石油商業組合連合会
〒100-0014 東京都千代田区永田町2-17-14石油会館
TEL:03-3593-5751
FAX:03-5511-8870
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE