日刊ニュース

2015.11.19 のニュース

採算販売はもはや死語なのか

原油価格の低位状況が続いている。国際原油価格指標の1つ、WTI先物価格は2014年7月までは100㌦台の高値に張り付いていたが、夏場以降は下落基調へと転じ、11月に行われたOPEC総会では減産を見送り、事実上、価格調整機能を放棄したことから、下落基調にさらに拍車がかかった。今年1月末には一時45㌦を割り込むなど、わずか半年で半値以下にまで暴落するという驚異的な価格トレンドを辿った。
 さらに7月に入ると、ギリシャの債務問題に加え、上海株式市場の大幅下落と人民元切り下げショックなど、中国経済の先行き不安が世界経済を震撼させ、世界同時株安を引き起こし、原油価格も8月末にはついに40㌦の大台を割り込んだ。パリで発生した当時多発テロで欧州を中心に需要が沈み、8月の安値を試す状況にあるとの見方が出ている。
 一方、原油価格の暴落を受けて、国内の石油製品市況も下落の一途をたどってきた。レギュラーガソリンのSS店頭全国平均価格は、14年の最高値となる7月の㍑169・8円から15年1月には140・9円に、2月には135・3円まで値下がりした。原油価格の小幅な反発でその後はほぼ140円台前半で推移していたが、7月以降の原油価格の急落によって、10月は133・9円まで値下がりした。
 元売各社のガソリンの仕切価格改定は、08年10月から、それまでの月次改定から週決め改定へと移行したため、より直近の原油先物市況や製品現物市況の価格変動の影響を受けやすい状況となっている。
 原油価格変動に伴う卸価格改定をタイムリーに小売価格に反映させなければならない、仕切り改定方式にもかかわらず、卸価格は依然不透明で、一部の量販店などに往々にしてみられる、ガソリンの販売量にのみ固執するあまり、常に採算度外視の価格競争と隣り合わせの、経営存続すら危ぶまれるような過当競争体質から抜け出せないでいる。
 原油価格は、中東・北アフリカなどの地政学的リスクに加え、需給、景気・経済、金融、為替など、様々な変動要因が複雑に絡み合い、日々刻々と変動している。原油価格が今後どのような推移していくのかを見通すことは困難だ。原油価格を注視していくとともに、コスト変動をタイムリーに小売価格に反映させていく覚悟が求められている。採算販売の重要性を死語にしてはならない。

提供元:全国石油商業組合連合会
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