日刊ニュース

2015.11.26 のニュース

自動運転とSSのあり方

 今秋は「自動運転」の話題が賑やかだった。その基点となった東京モーターショーは動力性能やカッコ良さで惹きつけるような見せ方が薄れ、先進性や便利さのアピールが一層目立ったが、入場者数は前回比1割減、1日あたりでは2割弱減った。主催者は天候影響などと評したが、根っからのクルマ好きがさらに少なくなったのではないかと懸念される。
 安全なクルマ、より重宝なクルマへ。1世紀前に“自動”で動くようになった「自動車」が、自らの判断で動く「自動運転車」へと変わろうとしている。メーカーは高付加価値化による代替促進に力を入れ、その最たるが安全装備であり、究極には完全自動運転を見据えている。これを後押しするのが高齢社会だ。「生活の足」として生涯にわたりハンドルを握り続けたいユーザーニーズに応える。交通事故ゼロ社会の実現を目指す。昨年1年間の交通事故発生件数は57万件強、うち24時間以内の死者数4千人、負傷者数は71万人にのぼった。今年も10月末までで44万件、死者3400人、負傷者54・7万人。社会的損失は計り知れない。
 自工会はショー期間に「自動運転ビジョン」を公表。2020年までに自動運転技術を実用化し、30年までに普及拡大を図り、50年までに社会に定着させるシナリオを描いた。車載センサーで周辺を認識する車車間通信による“自律型”技術に加え、周辺状況と連携させる“協調型”への高度化が必須となる。そのためには情報セキュリティーの確保、超高精度地図なども必要で、刻々と変化する状況や予見も含めたビッグデータの活用が不可欠だ。国内の4輪車保有台数は約7700万台。このほかにも交通社会には2輪車、自転車、歩行者が入り交ざっている。
 国内トップ3社は挙って自動運転デモを公開したが、その中でもトヨタは道路とクルマ、クルマ同士による情報をドライバーに伝え、安全運転を支援する「ITSコネクト」をすでに実用化。展開地域は都内や愛知県の一部で、搭載車もクラウンのみだったが、近く発売される新型プリウスに導入する。先進安全装備と合わせ、時代を先取りしてきた量販車種に新たな価値を取り入れる。
 新サービスによる囲い込みを次々と打ち出す自動車業界に対し、我々も傍観者ではいられない。ユーザーと日々向き合う最前線SSのニーズ察知力が、より重要度を増している。

提供元:全国石油商業組合連合会
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