日刊ニュース

2015.12.02 のニュース

90円割れガソリンの衝撃

消費税込みガソリン小売価格90円割れが出現、愛知県知多半島が炎上している。コストコ中部空港倉庫店に併設して18日に「地域最安」を謳って114円で開所したSSは、道路を挟んだ地元・PB安売SSとの値下げ競争の結果、先週には90円を割り込む展開となった。我々の仲間である一般SSには最悪の展開となったもので、愛知石商は不当廉売で両者を申告している。
 国内24店を展開するコストコは、「50万人商圏に1店の目安で積極出店する」「新設倉庫店には原則SS併設を考慮する」方針とされており、コストコ真空地帯の県庁所在地規模の市場はどこでも新設のターゲットとなり得る。さらに、SSを併設していない既存20店の周辺SSも対岸の火事視はできない。従来までの安値の常識が通用しないSS専業キラーの登場と捉えるべきで、全国のSS事業者は、知多半島の仲間の痛みを共有すべきである。
 地域密着の小売専業がほぼ崩壊した元凶として、2000年の大規模小売店舗法(大店法)の廃止が指摘されている。新規出店の際に商工会議所の関与が否定された結果、シャッター街と化した旧商店街と週末ににぎわう郊外大型ショッピングモールという光景が生まれ、イオンとセブンアイがその双璧を占める担い手となった。米国ではウォルマートがその担い手に相当するのだろうが、そのウォルマート・キラーの位置付けにあるのがコストコだという。
 ただし、不良債権化懸念があった産業団地用地を抱えた地方自治体にとって、コストコは販売力と雇用力の面でも超優良企業ということで、誘致合戦が激しいとも聞く。誘致に成功した市町村と、そこに隣接する市町村の相関は、その税収をも加味すると、文字通りの勝者と敗者だ。
 円建て原油コストに石油石炭税とガソリン税を加えると89円になる。ここに消費税を加えると96円だ。「地域最安値」のコンセプトを社是とする2社が同一市場で激突した結果ではあるが、日本という無資源国で生じたこの異常な価格の意味を公取委は吟味すべきであろう。この2社以外のSSの絶望的な経営状況を斟酌すべきであろう。さらには、経産省も地方創生のキーワード「小さな拠点」と整合性のとれる小売業の秩序回復のための新・大店法を検討すべきであろう。このままでは、SSを含む地域密着の小売専業が絶滅しかねない。

提供元:全国石油商業組合連合会
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