日刊ニュース

2015.12.09 のニュース

割安灯油の売り急ぎは禁物

3桁を超えていた昨シーズンも、電気やガスなどの競合暖房エネルギーに対する経済性は揺るがなかった灯油が、今シーズンはさらに小売価格が値下がりして、断トツの経済優位性を誇っている。
 シェールオイルの増産や欧州経済の低迷、中国経済の失速による需給緩和によって、急落が進んだ国際原油市況。2014年7月までバレル100㌦の高値に張り付いていた原油先物価格は夏場以降、下落に転じ、今年1月末には一時45㌦を下回り、わずか半年余りで半値以下に暴落した。
 13年8月以降、㍑100円台で推移していた灯油店頭価格の全国平均も、14年7月の107.8円をピークに、12月には98.6円と実に1年5ヵ月ぶりに100円台を割り込んだ。年明け後も2月に82.1円、3月は84.4円と前月比小幅な値上がりで昨シーズンを終えたが、“灯油は高い”というイメージは徐々に払拭されつつある。今冬の灯油商戦を占うシーズンインの価格は9月80.4円、10月78.6円、11月75.8円。80円台を下回るのは10年12月以来4年10ヵ月ぶりとなる。
 割安感が強まり、例年以上に需要増への期待が高まる今冬の灯油商戦だが、一方で危惧されるのが、競合相手に価格優位性だけを必要以上に追い求め、採算度外視の量販に走った結果、「需要は伸びたが、利益はさっぱり」と赤字に陥り、“豊作貧乏”と揶揄されるような商戦に終始してしまうことだ。
 そしてもう1つ、“豊作貧乏”になりかねない要因として、暖冬などの天候要因によって期待を裏切られる需要不振に陥った結果、販売量確保のために売り急ぐ行為も考えられる。すでに一部の大手ホームセンターでは60円割れの店頭価格も散見される状況で、乱売競争の拡大に危機感が高まっている。
 石連週報による11月の灯油出荷量を第4週まで積算すると前年比1.5%減と不振で、第4週の出荷増で減少幅はやや縮小したものの、全国的に暖かい日が続いた11月の暖冬影響が表れている。
 これまで以上に日々の気温の変化や積雪などの天候状況をきめ細かく把握し、自社の需要動向を見極めていく努力が欠かせない。一方で、人手とコストとの相談にもなってくるが、配達販売を強化し、自社商圏内の灯油需要を掘り起こしていく取り組みも必要となろう。

提供元:全国石油商業組合連合会
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