日刊ニュース

2015.12.11 のニュース

系列店の視点でみる元売再編

 JXホールディングスと東燃ゼネラル石油が、2017年4月を目途に経営統合を目指すことを明らかにした。これに先行して今夏には、出光興産がロイヤル・ダッチ・シェルから昭和シェル石油株式の33・3%を取得する譲渡契約を締結。月岡出光社長は「経営統合後は大手元売4社体制になるが、最終形とは考えにくい。さらなる再編もあり得る」との見方を示したが、早くもその動きが顕在化した。また、出光・昭シェルは先月、経営統合に関する基本合意書を締結。合併を基本方針として検討し、来年10月~17年4月を目途に統合会社を発足させる意向だ。
 JX・東燃ゼネの記者会見では、内田JXHD社長が「秋口ごろから全面的な経営統合を検討してきた」と説明。統合比率は来年8月を目途に予定している経営統合本契約時までに決定するが、持株会社の下にJXエネルギーを吸収合併存続会社とする統合事業会社を置くとした。予定通り進めば、この1年半以内に2大石油グループが誕生する。
 出光・昭シェル、JX・東燃ゼネともに、経営統合の検討にあたっては「対等の精神」を謳い、内需減に直面する厳しい経営環境を乗り越えるため、統合後の効果として出光・昭シェルは年間500億円程度(5年目)、JX・東燃ゼネは1千億円以上(5年以内)を目指す目標を掲げた。また、いずれも他元売との既存の提携関係を継続・尊重する意向も示している。
 4元売は当面、6ブランドを継続使用する。すでに消滅したブランドを含め、それらを支え続けてきたのは各系列の特約店、代理店、販売店だ。出光・昭シェルは、「相互信頼関係をベースとした取引の価値を重視しつつ、特約店・販売店を中心としたサプライチェーンをさらに強化する」、JX・東燃ゼネは「いずれのグループに属するかに関係なく公平に対応し、信頼関係をさらに発展するよう努める」と明示している。
 翻って、小売市場では「他系列にとどまらず、自社系列内でも販売子会社の増勢に押されている」との声が聞かれる。また、量販指向店による再編を見据えたシェア競争激化への懸念も伝えられる。現行の系列政策は評価を得ているか、統合後も特約店・代理店・販売店とともに歩むためのビジョンに共感、共鳴できるのか。中小販売業者は再編の動きに際し、改めて“信頼関係”のあり方に関心を持っている。

提供元:全国石油商業組合連合会
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