日刊ニュース

2015.12.17 のニュース

阻止した温対税の使途拡大

ここ数年、税制改正の時期になると常に激しい議論が行われてきた地球温暖化対策税の森林整備への使途拡大問題がようやく決着する見通しとなった。全石連・油政連や石油連盟をはじめ産業界全体が反対してきた使途拡大は阻止され、新たに国民が等しく負担する新税の創設が検討されることになった。
 地球温暖化防止に向け、エネルギー起源CO2排出抑制対策(省エネ・再エネ対策)を実施するには多額の予算が必要。そのため、現在1㍑あたり2.04円の石油石炭税に12年10月から0.25円、14年4月にも0.25円、そして第3段として来年4月に0.26円が上乗せされ総額2.8円の税額になる予定だ。
 来年度以降はこの上乗せ分だけで年間約2600億円の税収増となるのだが、農林水産省などはこの財源の使い道をCO2の削減効果があるとされる森林吸収源対策に使わせてほしいと求めていた。
 石油業界などがこの使途拡大に反対したのは、森林整備対策が本来の温対税導入の目的である排出抑制対策だけでなく、吸収源対策に使われることは納税者との約束を破るからだ。もう1つは、そもそも森林整備対策そのものが何兆円もの膨大な予算を必要とする事業で、いまの温対税だけで足りなくなれば追加増税が懸念されるからである。これ以上、石油の消費者に負担を押し付けることはなんとしてもできない。
 この動きに対して、石油業界をはじめ化石燃料を使用するあらゆる産業界が反対の狼煙を上げた。今年はおよそ200を超える団体が使途拡大への反対を表明し、政府・与党に対して猛烈な運動を実施した。
 我々石油業界は11月12日の総決起大会で、この使途拡大反対を最重点要望として訴え、大会に出席した議員や地元国会議員を個別陳情して訴えた。これらの運動の成果が出たといっても過言ではないだろう。
 自民党税制調査会ではこの使途拡大を認めない代わりに、森林整備のための新たな税の仕組みが提案された。「(森林吸収源対策の)効果は広く国民一人ひとりが恩恵を受けるものである」とし、「必要な財源として都市・地方を通じて国民に等しく負担を求める」ような税の仕組みを検討する方針を決めた。今後、個人住民税のような税の創設が議論されるようだ。ようやく石油への税危機は回避されたといえよう。

提供元:全国石油商業組合連合会
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