日刊ニュース

2015.12.18 のニュース

子会社整理は2強時代の大前提

 石油に先んじて国内2強時代が到来した鉄鋼メーカーのシェアは、新日鉄住金51%、JFE36%で、両社の合計は実に87%に達する。ところが、この2強でさえも世界を舞台にすると、首位のアルセロールミタルは新日鉄住金の2倍、新日鉄住金と肩を並べる規模で中国企業がひしめき、韓国ポスコが迫る。
 石油の2強の場合、いずれも本紙推計で、精製能力はJX-東燃54%、出光-昭シ25%。製品輸出シェアはJX-東燃56%、出光-昭シ20%。いずれも両社で8割近いシェアを占めるが、欧米メジャーと国策企業がしのぎを削る世界市場に目を転じると、鉄鋼よりも規模格差が大きいのが実態だ。むしろ日本の国策として、この2強を死守しなければ、安定供給に不安が台頭しかねない実力であるから、この分野に関して、公正取引委員会が統合にブレーキをかける事態は想定しにくい。問題は国内小売市場である。
 2強時代が到来することについて、系列の石油販売業者からは、その小売市場における支配力を不安視する声が上がる。特に子会社SSについての懸念が多いようだ。
 小売分野における2強は、SS数はJX-東燃44%、出光-昭シ22%。燃料油シェアはJX-東燃46%、出光-昭シ29%。うちガソリンはJX-東燃53%、出光-昭シ32%。中でも都道府県別のSS数において、JX-東燃は、シェアの高い順に神奈川、東京、長野、茨城、千葉の関東5都県で55%を超える。埼玉でも50%を超えており、国内最大市場の関東、特に首都圏におけるSS占有率の高さが目立つ。
 JX-東燃系を代表する5販売子会社1240SSのうち、実に450SSが1都3県に立地する。SSシェアは11%に達する。3分の1以上の出資会社を加味すると、これに倍する数字が統合会社の直営SSと見なすこともできるだろう。SS個々の販売能力や卸専業子会社の存在を勘案すれば、さらに倍加する直接販売シェアとなる可能性すら見えてくる。
 ガリバー企業の誕生を審査する公取委も相当、判断が難しい案件になりそうだが、一部地域での店舗売却条件を付加した大手家電販売統合の事例が先例となるようだ。2強はその手前で、それぞれリテール・小売分野の垂直支配構造を脱し、SS経営から手を引いて、地域特約店にその経営を委ねる経営決断もある。

提供元:全国石油商業組合連合会
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