日刊ニュース

2015.12.24 のニュース

激変の時こそ組織の力を

2015年を振り返ると、今年ほど業界全体が激変の予感に震えた年は過去になかったのではないか。大型再編はこれまでも何度か起きているが、以前は業界全体にまだそれを受け止めるだけのゆとりがあった。いま業界環境がこれほど逼迫している中での、しかも立て続けの大型再編は、業界そのものの成り立ちを根底から覆してしまう可能性すら示唆している。 
 販売業界が注視すべきポイントは幾つかあるが、まずはブランドがどうなるか。経営統合にかかわる4社は当面、それぞれの6ブランドを維持する構えだが、いずれは統一へ向かう可能性が高そうだ。その時、同じブランドが増えることでリテールサポートを含めたブランド力は強まるのか弱まるのか。シナジー効果を狙ったブランド統一のはずだから、ブランド力も強まるものと期待したいところだが、販売業界内では悲観的な見方が決して少なくない。
 さらに、同一ブランドのSSが狭い範囲に集中することを元売が嫌い、意図的に競合する一方のSS(この場合、地場業者の販売量の少ないSSである確率が高い)を潰しにかかるようなことにでもなれば、元売子会社のSSがますます末端市場を席巻することにもなりかねない。「あり得ない」との声が聞こえてきそうだが、過去の元売合併に際しては何度も繰り返されてきたことだ。
 一方、精製設備の統廃合が急速に進むため、需給は締まり業転は縮小するとの見方が販売業界内では有力で、こと業転問題に限っては大型再編を歓迎する声が多数派を占める。ただし、他方で「2強となればシェア争いの熾烈さはいままで以上。業転市場も逆に激しさを増す」との声があるのも事実で、これもまた明るい見通しばかりとは言えない。
 元売再編最終章が佳境を迎える16年は、販売業界にとっても激震が予想されるが、それでも石油業界は続くしSS業界も続く。元売との距離感が一段と遠くなる可能性は否定できないが、SS経営はこれまで、元売との関係だけで成り立ってきたわけではない。石油販売業者同士のつながりも、縦だけではなく組織という横のつながりを、時間をかけて紡いできた歴史がある。激変の時だからこそそのことを思い起こし、個々の経営努力とともに、組織に力を結集して難局を乗り切っていくという強い思いを持ちたい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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