日刊ニュース

2016.01.05 のニュース

「元売の責務」と「組合の役割」

2015年のレギュラー年平均価格(エネ庁調べ)は、前年比25円安。ユーザーはこの「実利」を得たが、我々は需要回復の実感に乏しい。日本エネルギー経済研究所の短期需要見通しによれば、今年度のガソリン需要は0.7%増で5年ぶりの増加に転じるが、前年度が4.5%減と大幅に落ち込んだことの反動で、16年度は1.9%減を予測。この先も低燃費車シフトが続くのだから、石油製品の構造的な需要減を前提とした経営の確立がより必要となる。
 その具体策の1つが“油外”の強化。もちろん、いまに始まったことではないが、この1年間で、既存メニューの受注や収益を上積みできたか。新しいサービスや事業の導入は進んだであろうか。あるいは、油外の拡大を先導・牽引する人材の確保・育成を図ることができただろうか。そして、もう1つが“燃料油収益”の確保。量が減る以上、適正マージンを得ることが欠かせない。石油販売・SSを「業」とするのであれば、この重要性は一層高まる。
 今年、元売は大きく舵を切った。各社トップの年頭所感を振り返ってみると、再編への胎動を予見させるような発言が目立った。統合に向けた準備がすでに始まっていたのか、急速に動き出したのかは定かでないが、需要減に直面した「装置産業」としての決断。系列業者はもとより、プライベートブランド業者にも影響がおよぶのは必至で、早くもその前兆を指摘する声も上がり始めている。
 元売は石油サプライチェーンの重要性を自認しつつ、統合効果をSSネットワークの再編にも波及させるとみられる。SSの減少が続く中、販売子会社の位置づけをどうするつもりなのか。「特別な優遇はない」と言い切る販社SSは、ガソリン販売シェアでついに2割を超える一方、一般特約店・販売店の劣勢が顕著だ。「返上SSの受け皿となった」結果が販社の増勢につながっているという言い分には、異論も少なくない。また、量販・過当競争の発端にはなっていないのかもしれないが、時を待たずに参戦する当事者と映りかねない現実もある。
 公正かつ透明な市場形成が求められている。事後調整的な対症療法は、そぐわない。石油産業の健全な歩みは、足元から始まる。大きな変革の最中で、元売の責務、そしてまた石油組合の役割も一層増していると自覚したい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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