日刊ニュース

2016.01.06 のニュース

シェア争奪の年にするな

出光興産と昭和シェル石油、JXホールディングスと東燃ゼネラル石油。今年はこの4社を中心にした業界再編の序章ともいえる年になる。
 今回の大型再編は、元売各社が利益の出ない経営から決別するため、これまでの競争相手と手を組んで需給に見合った生産体制の整備や合理的・効率的な供給網を構築するために決断したものだ。
 この目指す方向性については、我が石油販売業界も「適正な需給に基づく石油取引が可能になる」と大いに期待しているのだが、気がかりなのは新たな統合会社ができるまでの間に想定される、当該各社の販売方針についてである。
 JX・東燃ゼネの統合は来年4月と発表されており、出光・昭シェルも新統合会社の発足は今年10月から来年4月までの適切な時期といわれている。一連の大型再編が一段落するまでにはまだまだ時間がかかる。それまでの間、これらの統合を予定する元売各社が、まさかとは思うが「統合前に販売シェアを拡大して企業価値を高めておこう」などという、旧態依然とした考え方に戻ることがないことを切に祈りたい。
 企業価値を測るとするならば、どれだけ量を売っているかではなく、どれだけ会社に利潤をもたらす企業であるかであり、それが株主に対する責任でもある。単なる販売数量ではなく収益性に優れた特約店・販売店を擁していれば、元売として事後調整などの補填をする必要もなく、元売とその販売子会社も堂々と収益を上げることができるはずだ。
 しかし、採算抜きのシェア拡大路線を突き進めば、系列特約店や販売店の経営は疲弊し、系列SSが市場から撤退を余儀なくされる。商圏内に系列SSがなくなれば、系列外の量販会社に足元を見られ、余剰玉を商社などを経由して安値で提供せざるを得なくなる。
 特に、規制緩和による自由競争が始まってからは、見境のないシェア競争に明け暮れた結果、精製・元売、販売ともに収益の出ない体質になってしまった。だからこそ精販両業界は「適正な需給」や「仕切価格の透明性確保」などの課題を掲げ、その実現に取り組んできたのである。
 こうした目標を実現するために元売再編が決断されたはずだ。シェア優先の体質に先祖返りすることは断固として避けるべきである。統合会社が誕生する前に市場全体が疲弊してしまっては意味がない。

提供元:全国石油商業組合連合会
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