日刊ニュース

2016.01.14 のニュース

中東緊迫のいまだからこそ

2016年は、サウジアラビアによるイランとの国交断絶という衝撃的なニュースで幕を開けた。追随するようにバーレーンとスーダンもイランとの断交を宣言するなど、事態は悪化の一途をたどっており、本格的な軍事衝突を危惧する声も聞かれる中、予断を許さない情勢となっている。
 ただし、以前なら一気に10㌦あるいは20㌦といった幅で跳ね上がっていたであろう原油価格は、中東がこれほどの緊張状態にあるにもかかわらずほとんど反応らしい反応を見せず、ここへきてむしろ30㌦をも割り込んでさらなる下げ基調へと向かいつつある。短期的には、サウジとイランの対立がOPECの減産合意をより困難にするとの逆の見通しが働いた結果ともいわれるが、中長期的には、中国経済の減速やシェールオイルの採掘コスト低下などによる供給過剰が背景にある。
 軍事衝突が現実のものとなりホルムズ海峡封鎖といった事態に陥れば、原油価格にも相応の影響が及ぶことは避けられないだろうが、それでも、中東の地政学的リスクがもたらす原油市場の反応は、以前とは比べものにならないほど鈍くなっている。
 とはいえ日本への影響という点では、原油輸入量に占める中東依存度が83%、ホルムズ依存度が80%、サウジからの輸入量が33%という相も変らぬ高水準を考えると、決して安穏としていられる状況ではない。しかも、一部原発が運転を再開したとはいえ、依然として全電源に占める化石燃料の割合が90%近くを占める現状からは、中東情勢次第で、エネルギーにとどまらず日本人の生活そのものが大きく揺らいでしまうさまが容易に想像できる。
 そして、万が一そういう事態に陥ってしまった時には、日本人の生活にとって“石油”がいかに重要な存在であるかを、日本人全体が改めて痛感することになるのだろう。そんな事態に陥ってはもちろん困る。
 ほとんどの日本人が大きな痛みを伴ってそう実感したはずのあの大震災を教訓として、そんな事態に陥る前に、まずは我々業界関係者が“石油”の大切さを改めて強く認識する必要がある。そしてそのことがドライバーにも伝わるよう、日々の商売の中で意識し続けたい。中東に緊張感が漂っているいまだからこそ、業界関係者にとってもドライバーにとっても、“石油”の大切さがより現実味を伴って実感できるはずだ。

提供元:全国石油商業組合連合会
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