日刊ニュース

2016.01.20 のニュース

残存者利益はありえるか

1996年の特石法廃止、98年の有人セルフ解禁に代表される石油業界の自由化政策だが、成否はどうだったのだろう。エクソンモービルやロイヤル・ダッチ・シェルが相次ぎ日本市場から撤退した。それぞれの事業ポートフォリオの見直しもあるのだろうが、日本市場の魅力が薄れたことが主要因と推測される。
 石油メジャー撤退と合わせ、日本市場は民族系資本の時代を迎えた訳だが、現在そこに出現しているのは精販両業界の苦しむ姿である。リーマンショックからわずか8年で再び未曾有の原油安が発生してもいる。原油価格の不確実性は常態化したと判断すべきではないか。
 業界はこれからその不確実性に耐えうる健全な財務体質が必要になってくる。その一方で、確実に進むのが内需減の深化である。14日、暖冬による灯油出荷の不振が要因だが、JXエネルギーが1月内需向け原油処理量を当初計画から下方修正した。
 業界における利益構造の基本は量×マージンである。量が伸びないならばマージンの向上が大事となる。それとも内需減の中だが、量をあくまで追求するなら他社のシェアを取得する手立てを工夫するしかない。現在、元売は再編、統合という形でその手立てを実現しようとしている。
 市場に対して、プレイヤー数が減少すれば収益構造が安定化するのは経済原則の基本だ。海外でも豪州の石油市場がそうした状況になっていると聞く。国内市場でも競争に勝ち残れば、残存者利益が得られるといわれてきた。元売再編に伴い、今後は商社など卸の再編も始まりプレイヤー数の減少が起こるとされる。
 SS業界を取り巻く状況はどうか。登録SS数は95年のピーク比ですでに55%も減少したが、セルフ量販SSを中心に廉売競争は収まらない。「マージン1円台の競争」(激戦地・広域SS)を展開し、残存者利益などはとても覚束ない。元売再編の悪影響か、首都圏では異業種PB系より安い小売価格を提示する系列SSが目立つような事態だ。
 ただ、詳細に話を聞くと、フルサービスSSでガソリン現金客に偏重せず、法人客の確保や中間3品の直売を強化し、確実に収益を上げているところがある。「フルでも販売量が好調な事例が出ている」(大手商社)との声も聞かれる。好事例は元売販社などが触手を伸ばさない分野で多いのが特徴だが、経営健全化の芽は確実に生まれている。

提供元:全国石油商業組合連合会
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